スマートバリューJP:9417

時価総額
¥45.1億
PER
-64.2倍
クラウドソリューションとモビリティIoT、スマートベニュー事業の有力企業。ガブクラ、CiEMS(2025年6月時点契約28,663台)、Kuruma Baseを展開。2025年6月30日付でデジタルガバメント事業の一部をウイングアーク1stへ譲渡。日本中心に展開。

事業内容

スマートバリューはクラウドソリューションを軸に、自治体向けやモビリティ関連、スマートベニューのサービスを展開しています。同社は自治体向けのCLOUD SUITE「ガブクラ」をはじめ、自動車データを活用するモビリティIoTサービス(CiEMSシリーズ)やカーシェアなどを支えるプラットフォーム「Kuruma Base」、さらにGLION ARENA KOBEを中心としたスマートベニュー事業を手掛けています。

主要な顧客は自治体や公的機関、法人(自動車関連事業者やカーシェア事業者など)で、契約型のクラウド・プラットフォームから継続的な収入を得る構造になっています。同社は技術のオープン化や単価低下を受けて経営資源を集中させる判断を取り、一部のデジタルガバメント事業を2025年6月に譲渡するなどポートフォリオの再編を進めています。

事業はデジタルガバメント、モビリティ・サービス、スマートベニューの三つのセグメントに分かれます。モビリティでは運転データの分析で事故削減や渋滞緩和を目指すCiEMSや、サービス化を支えるKuruma Baseが中核で、契約台数は増加傾向(CiEMSは約2.9万台、Kuruma Baseは数百契約の規模)です。スマートベニューではアリーナ運営や周辺まちづくりを通じて新たな収益基盤の構築を図っています。

経営方針

同社は「Moonshot Vision 2028」を掲げ、2028年6月期を目標年として事業成長と収益性の向上を両立させることを目指しています。中期経営計画では連結営業利益を1,144百万円、モビリティ・サービス部門の営業利益を200百万円、スマートベニュー部門を1,294百万円とする目標を掲げ、さらにモビリティ部門のMRR(月次で得られる安定的なクラウド収入)を2028年に75百万円まで引き上げる計画を示しています。経営資源の集中の一環として、付加価値の低い事業は整理し、2025年6月には自治体向けクラウド事業の一部を譲渡するなど、短期の影響を許容して中長期の収益体質強化を図っています。

同社は重点投資分野として、モビリティ・サービス、スマートベニュー、クラウド基盤の3領域に注力しています。モビリティでは自動車データを活用するCiEMSシリーズやプラットフォーム「Kuruma Base」を核に、現在CiEMSは約2.9万台の契約規模、Kuruma Baseは数百契約といった実績を持ち、契約型収入の拡大で安定化を図っています。スマートベニューではGLION ARENA KOBEを中心に、単なる施設運営ではなく周辺まちづくりとデータ活用を組み合わせることで他社と差別化を図っており、同社はこうした複合的な提供価値で市場優位を目指しています。

同社は新市場開拓と事業拡大を積極的に進めています。スマートベニューで実証したまちづくりモデルを地方創生の戦略に位置づけ、全国展開を目指すとともに、スタジアム・アリーナ建設・運営支援という拡大する市場でのポジション確立を狙っています。モビリティ分野では人手不足対策として建設機械やレンタカー向けの無人化・省人化ソリューションを全国展開し、交通事故防止や社用車台数最適化といった課題解決サービスでMRRを伸ばす施策を進めており、同社はこれらの横展開で収益基盤の安定化を図っています。

同社は技術革新と運用の強化にも注力しています。クラウドサービスの安定稼働やサイバー対策、自然災害時の大量アクセス対応など信頼性向上に投資するとともに、生成AIやデータ分析を用いたまちのマーケティングやモビリティの高度化に取り組んでいます。加えて内部管理体制の強化や業務のデジタル化、人材投資(賃金改善や研修、遠隔採用の推進)を通じて技術力と組織力を高め、同社は持続的なイノベーションで社会課題の解決と企業価値向上を目指しています。