クレステックJP:7812

時価総額
¥64.1億
PER
7.3倍
テクニカルドキュメンテーション事業の有力企業。取扱説明書制作、翻訳、データ組版、原稿作成支援ソフトを展開。1984年創業、国内子会社5社、海外子会社15社、18拠点。日本を拠点に中国、東南アジア、欧米を含む10か国での展開。

事業内容

クレステックは、製品の取扱説明書や修理マニュアルなどの技術文書の制作を主力とする企業です。文章作成やイラスト作成、組版、翻訳、印刷といった一連の工程を通じて、利用者が製品を安全かつ分かりやすく使えるように情報を整理・表現する創造的な業務を行っています。

主要な顧客は家電・情報機器、自動車や輸送機器、医療機器、産業機器などの製造業で、同社は新製品の開発段階から販売や生産に至るまで一貫して関与しています。収益はドキュメント事業が中心で、印刷物や梱包資材の供給、販促支援、さらにドキュメント作成支援ソフトの販売など周辺サービスからも収入を得ています。

事業は国内の制作拠点に加え、アジアや欧米に広がる海外子会社を通じたグローバル展開に分かれます。具体的にはライティング、図版制作、翻訳、印刷に加え梱包設計や緩衝材調達、販促支援、ドキュメント管理や翻訳支援のソフト開発・販売といった幅広い製品ラインで顧客の上流から下流まで支援しています。

経営方針

同社は中期経営計画「CR Challenge 27」を掲げ、2027年6月期に連結売上高200億円、連結営業利益14億円、営業利益率7.0%の達成を目標としています。テクニカルドキュメンテーションを中核に据えつつ、新経営体制のもとでグローバルネットワークを最大限に活用し、外資系やグローバル企業との取引拡大や既存顧客との取引深化を通じて売上と収益の拡大を図ることで、次の10年に向けた持続的成長を目指しています。

重点投資分野は、制作から印刷・製造までを一貫して提供する「ワンストップ」体制の強化と人材育成です。具体的には、顧客の現地近傍での印刷・梱包対応を拡充し、日系の既存顧客だけでなく医療・ヘルスケアや生活用品など新たな業種への営業展開を進めます。また、テクニカルライターや翻訳ディレクターの育成のために業界団体への加盟や英語教育、海外拠点との交流、大学との共同研究など具体的な取り組みを継続しています。

新市場開拓では、国内外での事業領域を上流の市場調査・販促支援から下流のユーザーサポートまで広げる計画です。チャットボットやインタラクティブ動画を用いた次世代マニュアル、国際規格対応の海外進出支援、他社との業務提携やM&Aの推進を通じて、従来の印刷中心の収益構造からコンサルティングやソリューション提供を含むポートフォリオへと転換し、事業の安定化と拡大を目指しています。

技術革新への取り組みとしては、生成型の人工知能(大規模言語モデル)を活用した文書生成や翻訳支援ツールの実用化、拡張現実などを使った新しい体験提供、そして社内の研究開発と外部連携による次世代マニュアルの実用化を進めています。加えてサステナビリティ推進室を新設するなど、誰にでも分かりやすい情報提供を目指した技術と組織の両面投資を行い、2027年の数値目標達成に向けて製品化と市場導入を加速させています。