- 日本企業
- サムコ
サムコJP:6387
事業内容
サムコは、半導体や電子部品の製造に使う薄膜形成装置や微細加工装置、洗浄装置などを設計・製造・販売する装置メーカーです。同社は自社で設計した装置を協力会社により製造し、最終検査を経て出荷しています。
主要顧客は半導体メーカー、電子部品メーカー、研究機関などで、用途は光デバイスや高周波デバイス、パワーデバイスなど多岐にわたります。同社の収益は装置本体の販売が中心で、加えて部品供給や保守・メンテナンスが安定したストック収入になっています。販売は国内の営業所に加え、海外は一部代理店や現地法人を通じて行っています。
事業は単一セグメントで、製品ラインは主に薄膜を作る装置(CVDやALDなど)、高密度プラズマを使うエッチング装置、溶液を使わないドライ洗浄装置(Aqua Plasma(アクアプラズマ)を含む)といった装置群に分かれます。その他に特注の装置や部品・メンテナンスサービスがあり、化合物半導体、シリコン半導体、電子部品、ヘルスケア向けなど用途別に展開しています。
経営方針
同社は第47期~第49期(2025年8月1日~2028年7月31日)の中期経営計画を軸に、成長と収益力の両立を目指しています。具体的には海外売上高比率を50%以上に引き上げるとともに、装置製造原価率を45.0%未満に低減し、売上高営業利益率を25.0%以上に高めることを目標としています。これにより、装置本体の販売に加えて部品供給や保守・メンテナンスによる安定収入を拡大し、持続的な利益成長を図ろうとしています。
同社は技術開発と製品差別化に重点投資しています。顧客ニーズに応えるために新しいプロセスや新規装置の研究開発を進め、独自の材料や工程で他社と差別化する方針です。研究開発向けの販売を強みとしつつ、生産現場向けの装置販売も強化しており、生産向け顧客には専任担当を置いて最適な装置・プロセスを提案するとともに、部品供給や保守体制の強化でストック型収益を拡大する具体策を進めています。製造は自社設計をベースに協力会社へ委託し、出荷前に最終調整と性能・品質検査を行う体制を維持しています。
新市場開拓と事業拡大にも力を入れており、北米、台湾、中国、韓国でのシェア拡大を図る一方、欧州やインドなどの新たな市場開拓を進めています。現地の営業・サービス人員を強化し、本社からのサポート体制も充実させることで海外売上比率50%以上を実現しようとしています。また、薄膜技術を医療・バイオ・環境・エネルギー分野に応用し、新規事業として中期的に成長させる計画を掲げています。生産体制については既存施設のレイアウト見直しや工程の平準化で生産能力と稼働効率を高める方針です。
同社は技術革新を経営の根幹と位置づけ、日々の研究開発を通じて新材料や新プロセスの創出に注力しています。さらにサステナビリティ経営の観点から2022年にESG委員会を設置し、装置の二酸化炭素排出抑制や省エネルギー設計、グリーン調達、3Rの推進など環境負荷低減に取り組んでいます。人材育成にも投資し、人事制度の見直しや評価制度の整備で技術者の創造性を引き出すとともに、技術基盤を事業成長へつなげる体制整備を進めています。