京都機械工具JP:5966

時価総額
¥60.6億
PER
22.7倍
工具の製造販売とファシリティマネジメントの有力企業。連結子会社2社体制で自動車整備用、医療用、電設関連や一般作業工具とロストワックス精密鋳造による精密工作機械部品・産業用機械部品の製造販売、業務用不動産の賃貸や太陽光発電による電力販売を展開。

事業内容

京都機械工具は主に工具の製造販売を手掛ける企業で、自動車整備用や医療用、電気工事向け、一般作業向けの工具や関連機器を中心に扱っています。加えて精密鋳造や不動産・施設の運営なども行っています。

同社の主要な顧客は自動車整備業者や医療機関、電設業者、製造業などで、販売は代理店を通す卸売と直接販売が混在しています。収益は工具販売が中心で、精密鋳造や不動産賃貸、太陽光発電による電力販売が安定収入に寄与しています。

事業は工具事業、精密鋳造、施設管理の三本柱で構成しています。工具事業では各種作業用工具と関連機器を展開し、精密鋳造ではロストワックス製法による工具や精密機械部品を製造しています。施設管理では業務用不動産の賃貸・運営や太陽光発電による電力販売を行っています。

経営方針

同社は「KTC vision 2030」に基づき、2022年度から2030年度までの9年間を三つのフェーズに分けて成長を目指しています。第1フェーズ(2022〜2024年度)で「つながる&見える化」を進め、第2フェーズ(2025〜2027年度)では「TRASAS&neprosで世界に通ずるトップブランドとして持続的成長を確実に遂げる」を基本方針としています。業績指標として営業利益率10%を当面の目標に掲げ、3年ごとの中期経営計画を通じて収益性の改善と企業価値の拡大を図ることを目指しています。

同社は工具そのものの性能だけでなく、工具・ソフトウエア・サービスを一体化した価値提供に重点投資しています。具体的には、工具本体のブランド「nepros」を中核に、工具の使用履歴管理や紛失抑制に貢献するRFID搭載の「nepros ID」や、現場の作業管理を可視化する「TRASAS」シリーズへ開発・設備投資を集中させ、航空宇宙やMRO(整備・修理・オーバーホール)など厳格な管理を求める市場で差別化を図っています。これにより単なる製品販売から、作業効率やコンプライアンスを高めるサービス収益への転換を進めています。

同社は新市場開拓として、自動車分野のEV・自動運転対応や、航空宇宙、医療、MROといった高付加価値分野での導入拡大を計画しています。販売面では代理店を通じた卸売の強化と直接販売の拡充を組み合わせ、精密鋳造や施設運営、太陽光発電による安定収入を背景に成長投資を実行します。グループの生産拠点最適化や子会社の統合も検討しており、生産能力増強や地政学リスク対応を含めたサプライチェーンの強化を進める方針です。

同社は技術革新と生産革新を並行して進めています。現場では協働ロボットを導入して単純作業を自動化し、人はより付加価値の高い業務に注力する仕組みを整備しています。また、工具の軽量化や新材料・新構造の採用で安全性や扱いやすさを高めるとともに、IoTやRFIDなどのデジタル技術で作業履歴の可視化を推進しています。さらに、近年判明した会計処理上の課題を受けて在庫管理システムの改良、棚卸手続きの二重チェック体制や内部監査機能の強化、経理・監査人員の増強などガバナンス改善に取り組み、ESG面では省エネや再生可能エネルギー導入で温室効果ガス削減とコスト最適化を両立させることを目指しています。