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エンビプロ・ホールディングスJP:5698
事業内容
エンビプロ・ホールディングスは、金属スクラップや産業廃棄物の回収・処理を軸に、リサイクル資源の生産と国内外での販売を行う持株会社です。同社は工場や解体現場から出る廃棄物を収集・中間処理して鉄や非鉄金属、プラスチックなどの再生資源を作り、さらにリチウムイオン電池の廃材からレアメタルを含むブラックマスの生産や輸出入・物流代行も手掛けています。
主要な顧客は電炉や高炉を持つ製鉄メーカー、非鉄商社・精錬メーカー、製紙やプラスチックメーカー、地方自治体や各種工場で、リサイクル資源の販売が売上の中心になっています。同社は収集・処理の対価、資源売買のマージン、輸出入や物流の代行手数料、環境コンサルや福祉サービスの契約収入などを収益源としています。
事業は「資源循環事業」「グローバルトレーディング事業」「リチウムイオン電池リサイクル事業」に大別され、その他に環境経営コンサルティングや障がい福祉サービスを展開しています。資源循環事業では鉄スクラップ、銅・アルミ等の非鉄、故紙、プラスチック、ゴムなどを処理・販売し、グローバルトレーディング事業はこれらを国内外の市場に供給する流通機能と貿易・物流サービスを担います。リチウム電池事業は電池廃材からレアメタルを回収して非鉄商社や精錬メーカーに販売する点が特徴です。
経営方針
同社は「サーキュラーエコノミーをリードする」ことを成長戦略の中心に据え、廃棄物の回収・中間処理から再生資源の生産・販売へと事業を転換することで企業価値の向上を図っています。中期経営計画の見直しに伴い、2029年6月期を最終年とする従来の5か年計画は取り下げ、今後はROEを新たな定量目標とし、足元の1年ごとの利益計画と財務指標を毎年公表して確実に積み上げる方針です。2050年のカーボンニュートラルという社会目標を事業機会と捉え、低炭素な再生原料の供給で市場を拡大していくことを目指しています。
重点投資分野は金属リサイクルに加え、レアメタル・レアアース・貴金属の回収、そしてゴム・プラスチックを対象としたポリマーの再生素材事業です。同社は高度な物理選別設備や工程ノウハウ、リサイクル技術の専門性、企画提案力、全国に張り巡らせた回収拠点と海外も含めた流通網、解体から再資源化までの一貫サービスという強みを生かして差別化を図っています。これにより素材の品質や出所が明確なトレーサビリティを担保し、製鉄業・非鉄商社・素材メーカー・自治体といった顧客に対して安定供給を行うことを目指しています。
新市場開拓では、焼却灰からの金銀滓回収や都市鉱山の高度活用、電気自動車普及を背景としたリチウムイオン電池のリサイクルによるブラックマス生産、廃プラスチック・ゴムを原料とするポリマーの再生素材供給を重点化しています。事業拡大に向けては、金属資源循環を担うグループ会社4社とポリマー資源循環の2社を含めた統合を進め、業務プロセスの最適化と機能連携で生産・営業・管理の効率を高める計画です。これらにより環境省の施策とも連動した新たな市場形成を狙い、国内外の流通機能・貿易・物流代行を強化していきます。
技術革新への取り組みとしては、物理的選別技術と化学的な再生処理の両面での研究開発と設備投資を進めています。同社はリチウム電池からのレアメタル回収やポリマーの高度再生処理でクローズドループを構築するため、実証プラントや選別設備の導入、工程設計の高度化を行い、品質管理と安全性を強化しています。加えて、人材確保・処遇改善や次世代リーダー育成、社外取締役を含むガバナンス強化といった経営基盤の整備を進めることで、技術投資を事業成長につなげる体制構築を目指しています。