アップコンJP:5075

時価総額
¥13.7億
PER
5.6倍
コンクリート床の沈下修正工事の有力企業。ノンフロン硬質発泡ウレタン注入のアップコン工法を短工期で操業停止不要の施工体制を展開。2010年度~2012年度の官民連携研究や2015年の産官学共同開発、2016年1月期の事業化。日本全国で道路・港湾・農業用水路等の公共事業と民間建物向けに展開。

事業内容

アップコンは、独自の「アップコン工法」を用いて、コンクリート床の沈下・傾き・段差・空洞などをウレタン樹脂の注入で短期間に修正する事業を展開しています。同社は既存の床を壊さずに施工できる点を強みに、工場や倉庫、商業施設、住宅などの建物や道路・港湾・空港などの社会インフラの維持・修繕を行っています。

同社の主要顧客は民間の企業(工場・倉庫・店舗の運営者や一般住宅の所有者)と国や地方自治体が発注する公共工事の両方です。収益はこれらの修繕工事の受注契約が基礎となり、短工期や稼働停止を避ける施工が評価されることで継続的な案件受注につながっています。

事業は大きく民間事業と公共事業に分かれており、民間向けは工場床や住宅の沈下修正、事前調査を含む一連の施工サービスを提供しています。公共事業では農業用水路トンネル向けのFRT工法や道路・橋梁・港湾・空港の空洞・空隙充填といったインフラ向け工事を手がけ、ノンフロンのウレタン樹脂とコンパクトな施工機材、自社の技術者による高精度施工を特徴としています。

経営方針

同社は継続的な成長の確保のために新たな事業の柱を開拓し、収益源の多様化を図ることを目指しています。収益性を重視し、「売上総利益率」と「売上高経常利益率」を主要な経営指標と位置づけており、原価削減や経営効率化を通じて利益率の向上に取り組んでいます。具体的な施策としては研究開発投資の継続、人的資源の確保・育成、メディアや展示会を活用したブランド化(アップコン工法の周知)といった販路拡大策を同時に進めています。

同社はウレタン樹脂を中心とした技術開発を重点投資分野としています。技術部を軸にアップコン工法や派生するFRT工法の改良を進め、材料メーカーと連携して特殊ウレタンの性能・安全性向上を図る計画です。差別化戦略としては既存床を壊さず短工期で施工し稼働停止を回避できる点、小型機械と自社施工チームによる高精度施工を強みとしています。社員の健康管理にも投資し、社長直轄の“健康活動倶楽部”を立ち上げて稼働の安定と技術継承の両面を支えています。

新市場開拓では公共インフラ分野と海外展開を明確に進めています。具体的には水路トンネルの空洞充填や空港地盤の圧密強化といった公共工事領域でFRT工法を事業化し、ノンフロン等の環境配慮型材料を活用した案件獲得を狙います。海外ではベトナム市場に注力し、年2回程度の現地訪問や展示会出展で北部から南部まで営業展開を図る計画です。ライセンス契約満了を機に同社主体で営業・施工体制を強化し、ジェトロ等と連携した市場調査や現地ネットワーク構築、営業担当者の配置を行う具体策を掲げています。

技術革新への取り組みは成長戦略の要であり、同社は継続的な研究開発と現場実証を通じて技術の事業化を加速しています。小型施工機械の改良やウレタン注入技術の高度化、材料メーカーとの共同開発による品質向上を重点的に進めるほか、実証試験を重ねて適用領域を広げます。同時にコーポレート・ガバナンスや内部管理体制を強化し、感染症や自然災害に備えたリスクマネジメントの定期見直しを行うことで、技術投資が安定した収益につながる体制構築を目指しています。