アイキューブドシステムズJP:4495

時価総額
¥146.3億
PER
19.2倍
法人向けモバイル端末管理の大手。CLOMO MDM、CLOMO SECURED APPs、TRUST DELETEなどのSaaSを展開。NTTドコモへ2022年9月よりOEM提供、Microsoftと連携。国内中心に展開。

事業内容

アイキューブドシステムズは、法人向けのモバイル端末管理とセキュリティを軸にしたSaaS事業と投資事業を展開しています。主力は企業が使う多数のスマートフォンやタブレットを一元管理する「CLOMO MDM」と、業務向けアプリ群の「CLOMO SECURED APPs」、Windows向けの情報漏洩対策「TRUST DELETE」で、これらをクラウドで提供しています。

同社は企業、教育機関、医療機関、官公庁など幅広い顧客を対象に、携帯販売会社や代理店などの販売パートナーを通じて導入支援とサポートを行っています。収益は月額・年額のサブスクリプションが中心で、契約が継続する限り毎月安定した収入が積み上がるビジネスモデルを採用しています。

事業は主に「CLOMO事業」と「投資事業」に分かれており、CLOMO事業では端末の利用状況監視、設定・制限による運用効率化、盗難・紛失時のリモートロックやデータ消去といった機能を提供しています。加えてアプリ配信やライセンス管理を行うポータルや、セキュリティオプション、導入支援・運用代行、キッティング等の周辺サービスを揃え、TRUST DELETEは子会社が提供するPC向けの強固なデータ消去機能を担い、投資事業では関連分野のスタートアップへの出資を通じて成長機会を追求しています。

経営方針

同社はサブスクリプション型のSaaS事業を中核に据え、導入法人数とライセンス継続率を主要な経営指標として安定成長を目指しています。国内のMDM市場は2024年に約187億円、2028年に約280億円まで拡大すると予測されており、同社はこの市場成長に合わせてシェア拡大を図ることで連結売上高の拡大を目指しています。継続課金モデルにより契約が続く限り収益が積み上がる構造を重視し、顧客の継続率向上を具体的な成長の基盤と位置づけています。

同社は製品の高機能化とセキュリティの強化を重点投資分野とし、差別化を図っています。政府向けのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録されている点や、2025年5月から提供を開始した行政機関向けのガバメントライセンスによる価格訴求力を武器に、官公庁や公共機関での導入促進を進めています。加えて子会社の提供するWindows向けの情報漏洩対策サービス(TRUST DELETE)とのクロスセルを進めることで、モバイル端末とPCの両面での統合的なセキュリティ提案を強めています。

新市場開拓と事業拡大では、医療機関向けの専門展示会出展や自治体のDX推進に対する提案強化など、業種別に特化した営業を推進しています。製品導入は携帯販売会社や代理店を通じたチャネル展開を活用しつつ、M&Aや投資事業を通じた事業領域の拡大にも注力しており、実際にWindows PC向けサービスを提供するワンビを子会社化するなど周辺領域への進出を進めています。SaaSの特性を活かし、大量受注時でも物理サーバー調達を必要とせず対応可能な点を成長上の強みとしています。

技術革新と組織面では、開発体制と品質保証の強化を具体策として進めています。エンジニア採用環境が厳しい中で社内勉強会や外部カンファレンスへの参加促進により人材育成を図るとともに、M&Aやオフショア開発拠点の活用で開発リソースを増強しており、ベトナム拠点の10KNの成長支援も行っています。品質面ではソフトウェア工程の改善や運用マニュアル・レクチャー動画の拡充によりカスタマーサクセスの効率化を図り、月数回の「CLOMOステップアップセミナー」開催や電話応答率90%超の維持といったサービス品質施策で顧客満足と継続率の向上を目指しています。