シイエヌエスJP:4076

時価総額
¥48.6億
PER
11.4倍
システムエンジニアリングサービスの有力企業。U-WayブランドやServiceNow導入支援、SAS Viya移行支援を展開。NTTデータと協業。連結子会社含む2社体制。2026年5月期に本部制へ組織変更。国内展開

事業内容

シイエヌエスは、企業向けのシステムエンジニアリングサービスを主力事業とし、要件定義から設計・開発・試験・導入・運用・保守まで一貫したシステム開発・運用支援を行っています。連結子会社とともに、業務システムの改善やクラウド移行などを手掛けています。

同社の主要顧客は通信、金融、流通・小売など幅広い業界で、企業の情報システム部門や業務部門が中心です。収益はプロジェクト型のシステム開発・導入や運用保守、データ分析、クラウド移行支援、コンサルティングといったサービス収入が柱になっています。

事業は従来、デジタル革新、ビッグデータ分析、システム基盤、業務システムインテグレーション、コンサルティングの5分野で展開しており、自社ブランド「U‑Way」を用いたクラウドやデータ分析支援、パートナー連携による導入実績が強みです。2026年からは組織をテクノロジーソリューション、ビジネスソリューション、コンサルティングの3本部に再編し、企画段階から運用まで一貫したサービス提供を進めます。

経営方針

同社は2025年5月期からの3か年中期経営計画を通じて、安定的かつ継続的な企業価値向上を目指しています。具体的には、2030年に向けて「人を想う」事業で社会課題を解決する企業グループの実現を掲げ、初年度の反省を踏まえて組織を再編し目標達成に注力しています。短期的な数値目標としては、2026年5月期の連結売上高を8,253百万円(前期比17.8%増)、営業利益を557百万円と見込み、さらに自社ブランド「U‑Way」シリーズでの売上高20億円を中期目標に設定しています。

重点投資分野は、ERP(基幹業務を支える業務システム)や生成AI(人のような文章や応答を作る人工知能)などの先端領域と、人材強化です。同社はERPスペシャリストや生成AIに対応できるハイスキル人材を採用・認定する計画を進めており、マネジメント層の補強や本社移転といった投資も行います。差別化の軸としては、顧客業務を深く理解した上で提案から開発、運用まで一貫して担う「エンドユーザー志向」のサービス提供を強め、パートナー連携による導入実績や独自サービスの拡充で競合との差異化を図っています。

新市場開拓や事業拡大では、営業体制の強化と顧客接点の拡大を重視しています。部門横断チームを昇格してセールス本部を設置し、既存の受託中心の姿勢から攻めの営業へ転換することで新規エンドユーザーや官公庁・自治体などの案件獲得を狙っています。さらにグローバルネットワークの構築や他社サービスの活用を通じて顧客基盤を広げ、ERP分野ではOracle ERPやmcframeへの参入で市場シェア拡大を目指しています。背景として、DX市場は2030年に約8兆350億円、国内AI市場は2028年に約2兆7,780億円、生成AI単独でも2028年に約1兆7,397億円まで拡大するとの見通しがあり、これらの成長を取り込む方針です。

技術革新への取り組みでは、データ分析やシステムのモダナイゼーション(老朽化システムの刷新)、生成AIと従来型AIの連携を進めることが柱になっています。同社はマーケティングから技術提供までを一貫して行う体制を整え、自社サービスのプロダクト化を推進するとともに、社員の研修や資格支援、人事制度改革による高度人材の育成にも投資します。これらの投資は短期的に利益成長を抑える可能性があると想定しており、内部管理体制の強化や働き方改革(フルテレワークの定着など)を通じて持続可能な成長基盤を整備する方針です。