ベイシスJP:4068

時価総額
¥33.1億
PER
25.4倍
通信インフラ構築を軸とするインフラテック事業の有力企業。自社開発のプロジェクト管理システム「BLAS」とAI・RPAで現場効率化ソリューションを展開。主要拠点は仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡。ベイシスパートナーズ登録社数522社(2025年6月末時点)。

事業内容

ベイシスは、通信インフラ構築の現場ノウハウに最新の技術を掛け合わせたインフラテック事業を展開し、通信・電力・ガスなどのインフラ事業者向けに設計・施工、運用・保守、プロジェクト支援サービスを提供しています。同社は自社開発のプロジェクト管理システム「BLAS」を核に、RPAやAIを使って現場作業や管理業務の効率化を進めています。

同社の主要顧客は通信事業者を中心に、通信機器メーカーや電力・ガス会社などが挙げられ、売上は工事の請負に伴うフロー型収益と、客先常駐や保守などの継続的なストック型収益に分かれています。全国の拠点と協力会社ネットワークで大規模な全国対応が可能で、長期契約の更新が収益の安定化に寄与しています。

同社の事業は単一セグメントの「インフラテック」ですが、主なサービスは(1)モバイルエンジニアリング:基地局の設計・施工、データ投入やソフト更新を含むインテグレーション、運用監視・保守、(2)IoTエンジニアリング:電力・ガスや鉄道・小売向けの機器設置・ネットワーク構築・保守、(3)その他:ITインフラのエンジニアリングやRPAツールの販売・導入支援などに分かれています。近年は特にIoT分野への注力で成長を図っています。

経営方針

同社は、既存の通信インフラ事業を維持しつつ収益の多様化を図ることで中長期の成長を実現することを目指しています。具体的には、売上高を2026年6月期に9,612百万円、EBITDAを同期に753百万円とする目標を掲げており、2024年6月期の売上6,822百万円、EBITDA138百万円から段階的な改善を目指しています。外部環境としては携帯基地局向け投資が2023年度に1兆3,609億円、2024年度に1兆2,770億円と落ち込んだ影響を受ける一方、2025年度は約1兆3,000億円規模への回復が想定されるため、同社は需要変動に耐えうる収益構造を作ることを優先課題としています。

重点投資分野として同社はIoTエンジニアリングサービスを第2の柱に育てることにフォーカスしています。機器設置の「フロー」案件から、監視・保守といった継続収益の「ストック」案件へ事業を転換し、現場管理システムBLASを外販してサブスクリプション型のサービス化(クラウド月額提供)と業務代行を組み合わせたサービス提供を進めます。現場ノウハウとBLASによる作業効率化、RPAやAIを活用した管理自動化を組み合わせることで、価格競争ではなく作業効率と品質で差別化を図っています。

新市場開拓や事業拡大では、モバイル事業の体制維持を行いつつ新規顧客へのアプローチや地域・業種の拡大を進める計画です。具体策としては、6G導入に向けた情報収集による技術対応力の確保、全国拠点と協力会社ネットワークを活かした大規模対応、IoT顧客向けのアップセル・クロスセルをねらったM&Aの積極検討、ITインフラ領域では保守から参入して上流工程へと段階的に領域拡大していくことを掲げています。これにより特定顧客依存の低減と安定的なストック収益比率の向上を図ります。

技術革新への取り組みとして同社はBLASの継続的な機能拡充と内製開発体制の強化を進めています。現場案件を1日あたり数千件管理する運用ノウハウを基に、前工程・後工程の効率化や監視・保守の高度化に向けた機能開発を行い、RPAやAIの導入で作業負荷を低減します。合わせて情報セキュリティ(ISO27001/27017取得)や社員のリスキリング、テレワーク・多国籍採用などの人材施策を進めることで、技術と人材の双方から提供価値を高めることを目指しています。