アバントグループJP:3836

時価総額
¥678.4億
PER
18.9倍
企業向け経営・会計ソフトの有力企業。連結決算向けパッケージDivaSystemとBPOによるアウトソーシングを展開。データプラットフォームやAI・BIソリューション、生成AI対応の技術開発を推進。連結子会社7社体制。

事業内容

アバントグループは、企業の経営判断や経営改革を支援するソフトウェア・システムの開発、販売、保守とソフトウェアを軸にしたコンサルティングや業務代行サービスを手掛けています。主力製品として連結会計向けパッケージ「DivaSystem」を有し、これを中心に決算業務や情報開示の効率化を支援しています。

同社の主要顧客は企業の経営者や経理担当、監査法人などで、企業価値の向上を目指す法人が中心です。収益はソフトウェアの販売・保守やライセンス収入、決算業務のアウトソーシング、コンサルティングやシステム開発の受託など複数の柱で成り立っています。

同社は事業を大きく三つの分野で展開しています。連結決算開示事業ではDivaSystemの開発・保守と決算アウトソーシング、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進事業ではデータ基盤や人工知能・データ分析を活用したソリューションと技術者育成、経営管理ソリューション事業ではグループ経営や事業管理の企画から導入、運用・保守までのワンストップ支援を行っています。

経営方針

同社は中期経営計画「BE GLOBAL 2028」に基づき、2028年6月期までに売上高を約2倍、純利益を約3倍にすることを目指しています。成長の指標として「ソフトウエア粗利益」や「1人当たりの営業利益」を重視し、ROEやDOEなど6つの主要経営指標を管理することで、数値に裏打ちされた事業成長を実現しようとしています。事業区分も2024年6月期から「連結決算開示事業」「デジタルトランスフォーメーション推進事業」「経営管理ソリューション事業」の三本柱に整理し、収益の拡大と生産性向上を同時に追求しています。

同社はソフトウエアを中核に据え、コンサルティングや決算アウトソーシングを組み合わせた高付加価値サービスで差別化しています。具体的には、連結会計向けのDivaSystem LCAや経営管理のAVANT Cruise、取締役会向けのTRINITY BOARDを一体化した企業価値経営のSaaSスイートを形成し、顧客の経営判断に直結する情報提供で競合と差をつけています。収益面ではソフトウエアの粗利益を測定して戦略判断に反映し、「赤字は悪」という方針のもと高収益を維持する取り組みを強化しています。

同社は成長市場として、経営のデジタルトランスフォーメーションを求める企業群に注力しており、連結決算開示やBI・データ基盤、投資家視点の経営情報基盤といったサブカテゴリーは年間15〜30%の成長ポテンシャルがあると想定しています。これら市場での需要を顕在化させるために、ソフトウエアの販売・保守・ライセンス収入に加え、決算業務のアウトソーシングやコンサルティングを通じて顧客との長期的な関係を築き、売上構造の多様化とスケール化を図る計画です。必要に応じて外部人材の採用やグループ内の機能統合も進めていきます。

同社は技術革新を成長の重要な原動力と位置づけ、利益の一部をR&Dと人材への再投資に充てる方針です。業務効率化には生成AIなどの先端技術を導入し、同じ投入で売上を伸ばす「売上高生産性」と投入コストを下げる「投下コスト生産性」の両面で「価値創造生産性」を高める具体策を進めています。加えて従業員の成長環境整備や働きがい向上(GPTWスコアをグループ70ポイントへ)にも投資し、技術力と人材力を両輪にして競争優位を築いていくことを目指しています。