トヨコーJP:341A

時価総額
¥290.1億
PER
60.2倍
インフラメンテナンス技術の有力企業。SOSEI工法と高出力レーザー装置CoolLaserを展開。2025年3月までにSOSEIで累計156万㎡の施工実績、2019年に一般社団法人レーザー施工研究会設立。日本国内中心の展開(2025年3月時点)。

事業内容

トヨコーは老朽化した工場屋根や橋梁・鉄塔などのインフラを長持ちさせるための付加価値あるメンテナンス技術を開発・提供しています。同社は主に屋根補強のSOSEI工法と、高出力レーザーによる塗膜・サビ除去のCoolLaserという二つの技術を中核サービスとして展開しています。

主要な顧客は工場を所有する自動車や電機などのメーカー、流通業者、鉄道・道路などのインフラオーナーや民間プラント企業、建設会社や機材レンタル会社などです。同社の収益は、SOSEIの自社施工による工事収入と、CoolLaserの装置販売(概ね1億円程度)や消耗品・保守契約といった継続的な収入が柱になっており、施工は品質管理や市場導入のために一部行っています。

事業の中身を分解すると、SOSEI事業は現場で吹き付ける瞬間硬化樹脂と断熱材で屋根の強度と断熱性を高める責任施工型のサービスで、安全基準や作業者目線の道具開発に強みがあります。CoolLaser事業は塩分やサビを蒸発的に除去して再劣化を抑え、産業廃棄物を大幅に減らせる点やロボット化との相性の良さが特徴で、装置販売・消耗品・定期保守・試験施工といった複数の収益源を持っています。

経営方針

同社は持続的な成長と中長期的なキャッシュ・フロー最大化を目指しています。これまで研究開発や装置開発に先行投資を実行してきたため2024年3月期まで営業損失が続きましたが、2023年2月にCoolLaserの市販モデル「G19-6000シリーズ」を投入し、装置販売やレンタル、保守・消耗品による継続収益へ収益構造を転換しようとしています。市場環境も追い風で、我が国には道路橋73万橋があり建設後50年以上の割合は2020年約30%、2030年約55%、2040年約75%と増加する見込みで、インフラ維持管理にかかる費用は事後保全で現在年間約5兆円が2048年に約12兆円に達するとされる一方、予防保全への転換により2048年に約6兆円に抑えられるとの試算もあり、こうした需要を取り込むことを狙っています。

同社はSOSEI事業とCoolLaser事業の両面に重点投資を行い、それぞれで差別化を図っています。SOSEIは瞬間硬化する樹脂と断熱材を用いた屋根改修工法で品質管理と現場目線の工法開発に強みがあり、既存顧客からのリピートが売上の約8割を占める安定収益源です。CoolLaserは塩分やさびを表面から除去して再劣化を抑える点や仮設や粉じん処理を削減できる点で労働力不足やコスト削減ニーズに応え、産業廃棄物削減やロボット化との親和性を打ち出すことで既存工法と差別化しています。具体的な施策として、原材料サプライヤーとの共同開発や施工協力会社・販売会社との協創を強化しています。

同社は新市場開拓と事業のスケール化にも注力しています。国内では新規販売代理店の開拓や展示会出展、メディア掲載で認知を高め突発的な引き合いを取りこぼさない体制を整備し、SOSEIでは太陽光パネル設置会社との協業で老朽化屋根への新たな用途を創出しています。海外展開では米国進出に向けた現地パートナー選定や輸出準備、人材採用を進めており、装置販売・レンタル中心のビジネスモデルへ転換することを通じて継続収入を拡大する計画です。財務面では手元資金に加え借入や第三者割当増資なども選択肢として検討し、安定した資金基盤を確保する方針です。

同社は技術革新を継続投資の核と位置づけています。既に完成したG19-6000に続き新型レーザーヘッドや装置の小型化、各市場向けの応用開発を進めるとともに、SOSEI向けにはより機能的で環境配慮型の原材料開発をサプライヤーと共同で行っています。人材面ではエンジニアや現場スタッフの確保を優先課題とし、採用会社との連携や採用広報を強化しており、これらの技術・人材投資で現場の省人化と長期的なライフサイクルコスト低減を実現することを目指しています。