構造計画研究所ホールディングスJP:208A

時価総額
¥336.1億
PER
14.1倍
エンジニアリングコンサルティングとプロダクツサービスの有力企業。高層建築の構造解析、地震・風の防災評価、CAE・熱流体解析、BIMやクラウド型入退室管理を展開。連結子会社5社、持分法適用関連会社2社を有する。国内外で展開。

事業内容

構造計画研究所ホールディングスは、エンジニアリングコンサルティングとそれに関連するソフトやクラウドサービスを中核に事業を展開しています。同社は高層建築や大規模施設の構造設計・解析、地震や風などの環境・防災評価を主力サービスとしており、住宅・建設向けの設計支援システムや社会シミュレーションによる意思決定支援も手掛けています。

主要な顧客は建設会社や不動産デベロッパー、製造業、通信事業者、自治体などで、コンサルティングの案件受託収入とソフトやクラウドサービスのライセンス・サブスクリプション収入が収益の柱です。大型プロジェクトの技術支援でまとまった売上を確保しつつ、製品やクラウドの定期収入で収益の安定化を図っています。

事業は大きく「エンジニアリングコンサルティング」と「プロダクツサービス」の二本柱で構成されています。前者は構造設計・解析、環境・防災評価、通信や製造技術のコンサルティングを含み、後者は解析ソフトや流体・粉体解析、社会シミュレーション、人流計測といった解析系製品に加え、屋内空間のデジタル化や入退室管理などのクラウド型プラットフォームを提供しています。

経営方針

同社は中長期的に「総付加価値」の年率約8%成長を経営目標として掲げています。具体的には営業利益に人件費や福利厚生を加えた指標である総付加価値を重視し、直近の計画値として総付加価値の計画(112億77百万円)の達成を目指しています。2025年6月期に持株会社制を導入し、グループの人的資本を生かして既存事業の高い収益性維持と、新規事業への継続的な投資による高成長を両立させる方針です。財務面では有利子負債の適正水準維持、自己資本比率やROEの向上、長期保有株主を想定した安定配当も目標としています。

重点投資分野は、従来のエンジニアリングコンサルティングとプロダクツ・クラウドサービスの両輪です。同社は高層建築や大規模施設の構造設計・解析、地震や風などの環境評価を中核に、解析ソフトやクラウド型プラットフォームといった定期収入を拡大することで収益の安定化を図っています。差別化戦略としては、多様な「人才」による工学的知見と情報技術の融合、高い品質管理体制の徹底、独立系企業としての対等な顧客関係の構築を通じて、専門性の高さと信頼性で他社と一線を画そうとしています。

新市場開拓や事業拡大では、大学や研究機関との共同開発や海外スタートアップとの連携を積極的に進めています。東京大学との連携から生まれた粉体シミュレーションのiGRAFや水位予測のRiverCastのように、研究シーズを製品化する取り組みを強化すると同時に、TwilioやNavVisなど海外サービスの国内展開で得たノウハウを新規事業に展開しています。組織面では事業開発部門と営業の連携を深め、規模拡大を図るクラウド事業や新たなコンサルティングサービスの立ち上げに注力する計画です。採用面でも新卒23名、キャリア10名の採用などで人才確保を進め、2026年6月期には39名の新卒内定者を確保しています。

技術革新への取り組みとしては、「知」と情報技術を組み合わせる方針のもと、研究開発投資(未来投資)を継続し有望なシーズを事業化する仕組みを整えています。数値解析や社会シミュレーション、屋内空間のデジタル化などの領域で技術基盤を強化し、クラウドプラットフォームの安定運用やスケールアップにも重点を置いています。過去の品質課題を踏まえた品質管理体制の強化や所員の専門性向上を通じて、技術面での優位性を持続的に確保しようとしています。