タウンズJP:197A

時価総額
¥511.9億
PER
5.9倍
感染症臨床検査用抗原検査キットの有力企業、創業以来30年以上。イムノクロマト法採用の迅速抗原検査キット、ブラックライン表示、判定時間3〜20分の製品を展開。病院や開業医、WHO等国際機関への供給実績あり、国内中心に海外にも販売。

事業内容

タウンズは感染症向けの体外診断用抗原検査キットを製造・販売する企業で、主力製品は特別な装置を不要とするイムノクロマト法を用いた迅速検査キットです。同社は現場で短時間に判定できる製品群を中心に、品質と使い勝手を重視したラインナップを展開しています。

同社の主要な顧客は医薬品卸を通じた病院や開業医に加え、WHOなどの国際機関、研究機関、バイオベンチャー等で、販売は国内中心ながら海外にも展開しています。収益は検査キットの販売が主体で、キットの利便性や検体抽出液の共通化が採用理由となって売上に結びついています。

事業は体外診断用医薬品の単一セグメントで、製品ラインはインフルエンザ、新型コロナ(鼻咽頭・唾液用)、両者同時検査キットのほか、アデノ、RSV、マイコプラズマ、ノロなど多岐にわたります。各キットは判定時間や検体種類、視認性を高めたブラックラインなどの特徴を持ち、検体採取回数や操作の負担軽減を図る設計が差別化要因になっています。

経営方針

同社は「診断技術で、安心な毎日を。」を掲げ、診断技術とデータを中心に事業成長を目指しています。具体的な数値目標は公表していないものの、中期経営計画では売上高、営業利益、当期純利益、営業利益率、EBITDA、ROEを主要な評価指標として重視しており、製品ラインの多様化や海外展開、新工場の設立を通じて特定製品への売上依存度の低減と収益基盤の強化を図ることを方針としています。現時点では新型コロナ関連製品の比重が高い一方で、次世代技術の投入と新市場の開拓によって中長期的に安定的な成長を実現することを目指しています。

研究開発と設備投資の重点分野は、既存のイムノクロマト法に加え次世代検査プラットフォームの開発、抗体創出技術の強化、そして慢性疾患や予防領域向けの検査技術です。中でも開発中のD-IA(デジタルイムノアッセイ)はチップ型試薬により小型装置で高精度の検査を実現し、最大で同時20検体の処理や複数項目の同時検査が可能である点を差別化要因としています。さらに、免疫プロファイリングやゲノミクス等のマルチオミクス解析、簡易尿検査や「アキュリード 亜鉛」など慢性疾患向け製品の開発を通じて、クリニックや在宅で使える高付加価値製品群の拡充を進めています。

事業拡大の計画としては、国内では営業員の増員や重要卸業者との関係強化、製薬会社との共同販売によるチャネル拡大を進めております。海外では既存代理店網の強化で新規地域へ進出すると同時に、品質を保ちつつコストを見直した海外仕様品の開発と海外向けの薬事申請体制や現地の専門家との関係構築に取り組んでいます。加えて新工場の設立により既存ラインの増設と新製品対応ラインを整備し、ファクトリーオートメーション導入で人員効率化と品質安定化を図り、1拠点から2拠点体制にすることで事業継続性(BCP)を高める方針です。

技術革新への取り組みはハード・ソフト両面で進めています。D-IAでは金コロイド粒子の1粒子カウントによる高感度検出や定量化を目指し、検査の迅速化・多項目化を実現することを狙っています。同時に免疫プロファイリングやマイクロバイオーム解析などの新たな診断領域へ投資し、検査データを活用するための情報基盤整備や基幹システムの刷新も進めています。人的投資としては専門人材の採用やAIを含む先端技術教育を強化し、知財投資や技術提携・資本提携を通じて十年後の事業ビジョンに必要な技術基盤の充実を図っていきます。