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コージンバイオJP:177A
事業内容
コージンバイオは、細菌検査用培地、体外診断用の抗原検査キット、細胞培養用培地の製造・販売と、医療機関向けの細胞加工受託を主力事業とするバイオ企業です。同社は研究機関や製薬・医療分野向けに、再生医療やバイオ医薬品の開発で使われる無血清培地などの高付加価値製品と、迅速に結果が出る検査キットを供給しています。
主要な顧客は大学や研究機関、製薬企業、医療機関、臨床検査センター、薬局などで、製品販売が収益の中心です。加えて、医療機関からの細胞加工受託やOEM・共同研究による受託収入もあり、臨時の増産要請(例:新型コロナ抗原キット)に対応して受注を拡大しています。
事業は組織培養事業、微生物事業、細胞加工事業の三本柱で構成されています。組織培養事業ではKBMブランドの無血清・定義培地を開発・販売し、製薬生産向けの培地開発にも注力しています。微生物事業では細菌検査用培地やKBMラインチェックシリーズの抗原検査キットを展開し、細胞加工事業では厚生労働省許可の施設で医療機関から預かった細胞を増殖・製造するとともに、法規対応のサポートも行っています。
経営方針
コージンバイオは中長期的に売上数量と収益性の拡大を通じて企業価値を高める戦略を掲げており、ビジョンとして「培地業界における国内シェア1位」と「アジアでの培地販売数量No.1」を目指しています。これを実現するために、組織培養事業・微生物事業・細胞加工事業の三本柱を成長の核と位置づけ、製品ラインナップの拡充や営業体制の強化、そして臨床試験用細胞の製造受託(CDMO)参入など具体的な事業拡大策を推進しています。
重点投資分野としては製造技術の高度化と営業力の強化を挙げており、同社は特注対応やOEM受託に応えられる「ものづくり力」を強みに差別化を図っています。自社で培地を製造し自社の細胞加工で利用することで原価率を下げ、現場からのフィードバックで製品品質を速やかに改善する仕組みを持つ点が競合との差異です。加えて「日本製の高品質」や大学・企業との共同研究による技術開発を通じ、性能面と価格面の両面で優位性を維持します。
新市場開拓についてはアジア圏を重点ターゲットとし、現地の需要に合わせた製品投入と販売代理店網の拡大でシェア獲得を図っています。微生物事業では感染症簡易検査キットをアジア向けに開発・投入し、細胞加工事業では臨床試験向けの受託強化と海外での加工施設新設を計画しています。さらに、抗原検査キットについては2023年4月に一部製品でOTC承認を取得しており、ドラッグストアやECといった販売チャネルの拡大も進めています。
技術革新への取り組みとしては、再生医療やバイオ医薬品の需要に対応する高性能・高品質の培地開発と、製薬向けに粉末培地の需要を想定した専用製造設備の新設計画を明示しています。研究開発は大学や企業との共同研究を通じて進め、製品の改良・新製品開発と同時に、品質管理や法規対応力の強化、人材確保・育成にも投資して技術基盤の継続的な向上を図っています。