J&J SNACK FOODS CORPJJSF

時価総額
$17.7億
PER
スナック食品製造と冷凍飲料販売の米国最大手。ICEEやSLUSH PUPPIE、ソフトプレッツェルを展開。2022年6月21日にDippin’ Dotsを約2.236億ドルで買収、2024年4月8日にThinstersを700万ドルで買収。米国中心にメキシコ・カナダほか展開。

事業内容

J&J SNACK FOODS CORPは、スナック食品の製造と冷凍飲料の販売を中心に事業を営んでおり、米国で最大級のソフトプレッツェルメーカーです。同社はソフトプレッツェルやチュロス、ベーカリー製品、携帯型の惣菜(ハンドヘルド)やフローズンノベルティに加え、ICEEやSLUSH PUPPIE、Dippin’ Dotsなどの冷凍飲料・デザートブランドを展開しています。

同社は主にフードサービスチャネルと小売スーパーマーケット向けに販売しており、上位10社で総売上の約45%を占めるなど大口顧客への依存度が高い構造です。収益は商品販売が中心で、冷凍飲料が売上の約15%、機器販売や修理・保守サービスが約9%を占めるなど、製品販売に加えて機器とサービス収入も安定した柱になっています。

同社の事業は大きく「フードサービス」「冷凍飲料」「リテールスーパーマーケット」の各セグメントに分かれており、フードサービス向けにはスタジアムや映画館、テーマパーク、コンビニなど多様な販売先へプレッツェルやフローズンデザートを供給しています。冷凍飲料部門ではICEEブランドのディスペンサーを設置・保守し、原材料供給や店頭プロモーションで顧客の売上支援を行い、スーパーマーケット向けには主に冷凍ノベルティやプレッツェル類を卸しています。

経営方針

同社は持続的な売上拡大と利益率の改善を目指しています。直近の年間営業キャッシュフローは約1億7,306万ドル、当期純利益は約8,655万ドルと健全な資金余力を確保しており、これを成長投資や借入枠と併せて活用する方針です。季節性のある事業構造を踏まえ、夏季に需要が高まるICEEや冷凍菓子などのチャネルでの販売拡大に注力しており、冷凍飲料は直近で売上の約15%を占めています。また自己株式買付枠(2017年計画分)には318,858株が残っており、資本政策も成長と株主還元の両面で運用しています。

同社は生産能力と物流・倉庫への投資を重点分野と位置づけ、調達・製造・物流におけるコスト生産性の向上を目指しています。原材料調達では将来の製造要件をカバーするために1〜12か月の範囲で先物ではなくフォワード購買を行い、約1億2,200万ドルのコミットメントを保有しています。広告費は直近で約1,110万ドル、研究開発費は約120万ドルとブランド・商品開発にも投資を継続し、米国最大のソフトプレッツェル製造業者である点や、ICEEの自社ディスペンサー(会社所有分は約24,000台、会社+顧客所有で約132,000台を管理)を核とするサービス型ビジネスで差別化を図っています。

同社は買収を成長エンジンとしても活用しています。2022年にDippin’ Dotsを約2.236億ドルで買収し、2024年にはThinstersを約700万ドルで取得して商品ポートフォリオを拡充しました。Dippin’ Dotsの売上は直近で約9,527万ドル、純利益は約1,285万ドルを計上しており、同社は映画館や遊園地、コンビニ等のエンタメ・トラフィックのあるチャネルでのシナジー創出を目指しています。さらにICEEなどのブランド権を国内外で保有している点を活かし、既存ディスペンサーの拡大や流通経路の強化で市場開拓を継続する方針です。

同社は技術面では情報セキュリティと基幹システムの強化を重視しています。セキュリティはNIST/CIS/ISOに沿った体制で、年次の脆弱性診断やフィッシング訓練、インシデント対応計画を実施しています。一方で2024年9月時点で情報技術のアクセス管理や変更管理に関する統制上の弱点(いわゆるITの基幹統制の問題)を認識しており、特権アクセスのレビュー強化、変更管理の厳格化、IT統制のガバナンス拡充といった改善プランを進めていることが開示されています。また製造設備への投資も継続しており、設備投資に伴う減価償却費の増加(直近で約6,341万ドル)を通じて生産性向上と自動化の採用を図り、業務効率化を目指しています。