Integer Holdings CorpITGR

時価総額
$24.4億
PER
医療機器向け受託開発・製造の最大手。心血管・神経領域のカテーテルや植込み機器の部品・完成品製造を展開。2024年1月の微細加工企業買収(1.423億ドル)。米国中心に15拠点、欧州・メキシコ・アジア展開。

事業内容

Integer Holdings Corpは、主に医療機器の受託開発・製造を手掛ける企業で、心血管、心臓リズム管理や神経調節向けの部品や完成機器の設計・試作・量産を一貫して行っています。同社は微細加工や表面処理、組立・品質管理などの製造プロセスを持ち、OEMメーカー向けに高付加価値なソリューションを提供しています。

主な顧客は大手医療機器メーカーであり、少数の大口顧客が売上の大きな割合を占めます。実際に2024年はAbbott、Boston Scientific、Medtronicの3社で約47%の売上を占め、同社は受注ベースや長期契約を通じて収益の安定化を図っています。

事業は心血管や心臓リズム管理・神経調節向けの製品ラインに分かれており、それぞれで設計支援、材料選定、加工、表面コーティング、最終組立まで対応しています。さらに外部研究機関との共同開発や戦略的買収で技術と生産能力を拡充し、顧客の製品化と市場投入を加速しています。

経営方針

同社は継続的な売上拡大と株主価値の向上を目指しています。直近では2024年の売上高が約17.16億ドルと前期比10%増加し、受注残高は約7.28億ドルで大半が1年以内に出荷見込みであることから、短中期の収益拡大を実現する狙いです。成長は既存事業の拡大に加え、オーガニックな製品開発と「タックイン(補完型)買収」による無機的拡大を組み合わせる方針で、増収・増益を目標に据えています。

同社は重点的に投資する分野として、Cardio & Vascular(心血管)およびCardiac Rhythm Management & Neuromodulation(心臓リズム管理・神経刺激)を掲げ、設計から量産までを一貫して提供することで差別化を図っています。マーケティングと営業組織の再編(Sales Force Excellence)、研究開発投資の効率化(Market Focused Innovation)、および製造の標準化・最適化(Integer Production System)を三本柱に、2024年のRD&E支出は約5,342万ドル、保有特許は556件(さらに159件のライセンス権)と知的財産にも投資しています。加えて、Pulseの買収(対価約1.423億ドル)等で表面処理や微細加工などの差別化技術を獲得し、顧客に対する「一気通貫の供給体制」を強化しています。

新市場開拓と事業拡大は買収と顧客との長期契約を通じて進めています。近年では構造心臓分野、神経血管カテーテル、リードレスペーシングや新興の神経調整市場など高成長の療法領域に注力し、InNeuroCo(2023年取得)、Aran(2022年取得)、Pulse(2024年取得)、さらに2025年初頭にPrecision Coatingを取得するなどターゲット領域の能力を取り込んで拡大を図っています。世界約2百万平方フィートの製造・研究拠点を持ち、米国出荷比率は約55%であるため、地理的にも幅広く事業展開しています。

同社は技術革新を競争力の源泉と位置付け、製品開発およびプロセス改善に継続投資しています。開発中のプロジェクトにはセンサー搭載ガイドワイヤーや構造心臓用デリバリーシステム、表面改質やチタン窒化コーティングなどの高度加工技術が含まれ、AIや外部研究機関との連携も視野に入れて技術取得・ライセンスを進めています。製品化には規制承認や長期開発サイクルが伴うため、同社はRD&E投資と設備投資を通じて「開発から量産、品質・供給の安定化」までの一貫体制を強化することで、技術面での優位を維持することを目指しています。