Intra-Cellular Therapies, Inc.ITCI

時価総額
$134.3億
PER
精神疾患向けのバイオ医薬品の有力企業。主力製品CAPLYTAを米国で商業販売、2024年に営業担当を約150人増員。2025年1月10日にジョンソン・エンド・ジョンソンと合併契約、1株132ドルで買収予定。従業員数860人(2025年2月1日)で米国中心に展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
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同業種の日本企業
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事業内容

Intra-Cellular Therapies, Inc.は中枢神経系の疾患を対象に新薬の研究開発とその商業化を行うバイオ医薬品企業です。同社は主要製品のCAPLYTA(商品名)を中心に、統合失調症や双極性うつ病などの治療薬を市場に供給しています。

同社の収益は主にCAPLYTAの米国内での製品売上によって支えられています。販売チャネルは卸売業者や専門ディストリビューター向けの出荷が中心で、営業担当者の拡充や追加適応取得が収益拡大に直結する収益構造になっています。

事業は大きく商業化部門と研究開発部門に分かれており、商業化部門が既存製品の販売・マーケティングを担い、研究開発部門が新規候補薬の臨床開発を進めています。製造や臨床業務の一部は外部に委託しており、さらにジョンソン・エンド・ジョンソンとの合併契約などを通じて戦略的な選択肢を模索しています。

経営方針

同社は主力製品であるルマテペロン(商品名CAPLYTA)の米国での商業化を成長の中心に据えています。具体的には、2024年に販売部隊を約150名増員し、2025年も抗うつ薬との併用適応を目指した追加承認申請(sNDA)の可能性を見据えてさらに増員する方針です。配当は当面見込まず利益は成長投資に回すと明言しており、株主には資本成長での還元を目指しています。なお、同社は2025年1月にJohnson & Johnsonによる1株132ドル、約146億ドルの買収契約が発表され、これが成長戦略や株主価値の実現手段の一つになっています。

同社は精神・神経領域の小分子医薬に重点投資し、既存薬ルマテペロンのさらなる適応拡大と新規候補の臨床開発で差別化を図っています。差別化の源泉として安全性や忍容性のプロファイルを重視しつつ、臨床開発と並行して販売体制とサプライチェーンの強化にも資金を振り向けています。供給面では原材料や製造キャンペーンに関して2027年までの納入見込みで合計数千万ドル規模の先払い(2024年末時点で約4,390万ドルのデポジット)を行い、BMSとのライセンス関連でこれまで約1,080万ドルのマイルストーン支払を行い、残りの可能性として約500万ドル、追加で最大約1,475万ドルの支払義務や売上に対する5〜9%のロイヤリティを負う契約となっています。

同社は新市場開拓や事業拡大に際して、主に米国内のプライマリケア市場への浸透と追加適応の獲得を狙っています。臨床試験や承認プロセスは国ごとに異なるため、海外展開は規制対応と製販連携が鍵であり、実務は多くを外部の治験受託機関や製造委託先に委託している点が現状の戦略です。さらに、買収手続き(HSR審査など)や株主承認といった条件があることから、合併・買収による事業拡大も並行した出口戦略として位置付けられています。

同社は技術革新に向けて研究開発体制の維持・強化を重視しており、臨床段階の候補化合物(例:ITI-1020の第1相試験進行中)に投資を続けています。一方で戦略的な見直しにより開発中止となったプログラムもあり、集中投資と選別を行うことで資源配分の効率化を図っています。内部統制やサイバーセキュリティにも投資し、従業員は2025年2月時点で約860名と人材基盤を整備しており、同社は研究開発と商業化の両面で持続的な革新を目指しています。