INTUITIVE SURGICAL INCISRG

時価総額
$2013.2億
PER
手術用ロボットシステムの最大手。da Vinci外科用システムやIon内視鏡支援システムを展開。上海フォースン医薬との合弁で中国展開、23年6月のNMPA承認と23年8月の製造許可。米国売上が67%(24年)、欧州やアジアを含むグローバル展開。

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企業概況
106文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Intuitive Surgical Incは、外科手術をロボットで支援する医療機器の開発・販売を行う企業です。主力製品は低侵襲手術を支援するda Vinci手術システムや、気管支鏡支援のIonシステムなどで、手術の正確性向上と患者の回復負担の軽減を目指しています。

同社の主要顧客は病院や医療施設、病院グループで、初回のシステム導入は高額な設備投資になります。機器販売に加えて器具や消耗品の継続購入、保守契約や現場サポートが安定した収益の基盤になっており、売上の約2/3が国内、残りが海外(代理店や中国の合弁会社を含む)からの収入です。

同社は販売を資本販売チームと臨床支援チームに分け、導入から院内での運用支援や術者教育まで一貫して行っています。事業は大きく「システム本体の販売」「器具・付属品の消耗品販売」「保守・技術サポート」の三本柱で構成され、研究開発投資や複数拠点での製造を通じて製品の改良と拡大を続けています。

経営方針

同社は、設備の新規導入と既存顧客からの継続収益の両面で成長を図っています。資金面では、2024年12月31日時点で現金・現金同等物および短長期投資合計が約88.3億ドル(約8.83億ドルの表記ミスを避けるため正確に8.83 billion USD)あり、流動性に余裕があることを強みにしています。売上構成は国内が約67%、海外が約33%で、システムの初期販売に続く器具・消耗品やサービス契約(システム販売には通常5年のサービスが含まれ、初年度は無償で残り4年は有償)で安定した収益を狙っています。同社は、設置台数の拡大と手術件数の増加を通じて器具・サービスの利用頻度を高めることを目指しています。

同社は販売・サポート体制と技術力に重点投資して差別化を図っています。資本販売を担当するチームと、病院現場で教育・運用支援を行う臨床販売チームを持ち、臨床チームは導入後のプログラム定着と器具消費を促す役割を担っており、この組織はインストールベースの拡大に合わせて増員を続けています。製造面では米国(カリフォルニア、ジョージア、バージニア等)やメキシコ、中国の合弁工場に加え、ブルガリアの新工場開設を計画するなど供給力強化に投資しています。特許・知財でも優位性を維持しており、2024年末時点で5,300件超の特許と2,400件超の出願を保有している点を差別化要因としています。

新市場や事業拡大では、中国での合弁事業を戦略的に活用しています。上海の合弁会社は当社持分60%で、2023年6月に中国当局の認可を受け、同年8月に同地でのダビンチXiの製造許可を取得しており、中国市場向け現地生産を進めています。また、海外の多くの地域では代理店経由で販売しており、代理店ネットワークの管理や規制対応を通じて市場アクセスを拡大する計画です。さらに、新しい臨床用途(手術用の自動縫合・エネルギー製品や気管支鏡を用いたIonシステム等)の商用化により、適用領域の拡大を目指しています。

技術革新への取り組みでは、ミニマルインベイシブ(低侵襲)医療の拡大をミッションに研究開発投資を継続しています。2020年のOrpheus買収で統合型情報プラットフォームを強化し、他社との共同開発(例:統合テーブルモーション)も推進しています。サイバーセキュリティにも注力しており、2022年にISO 27001認証を取得しているほか、ソフトウェアやクラウド実装への投資を行い、プラットフォームとデバイスを連携させることで医療現場での利便性と安全性を高めることを目指しています。同社はこれらの技術投資で臨床結果の向上と運用コストの最適化を両立させることを目指しています。