INTERNATIONAL PAPER COIP

時価総額
$198.9億
PER
持続可能な包装・紙パルプ事業の世界最大手。容器紙や紙パルプ製品、森林管理を基盤とした包装ソリューションを展開。2025年1月31日にDS Smithを約99億ドルで買収、2024年にGrassroots Innovation Award受賞、Ethisphereで18年連続選出。米州・欧州を中心にグローバル展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

INTERNATIONAL PAPER COは世界的な紙・パルプと包装の大手企業で、主に段ボール原紙や段ボール箱、各種紙製品とパルプを製造・販売しています。持続可能な包装ソリューションを掲げ、グローバルに製造拠点を展開して物流と保護のニーズに応えています。

同社は消費財メーカーや流通業者、梱包加工業者など幅広い企業を顧客に持ち、エンドユーザー向けと加工業者向けの直接販売に加え、代理店や販売業者を通じても製品を供給しています。収益は主に製品販売によるもので、数量に応じたリベートや早期支払割引などで変動する要素もあります。

同社の事業は大きく工業用包装(段ボール原紙・箱など)とセルロース系製品(パルプや繊維製品)に分かれ、それぞれ複数の製造所で生産・供給を行っています。最近のDS Smithとの統合により欧州での包装能力を拡大し、設備の最適化や環境・安全規制への対応にも注力しています。

経営方針

同社は「80/20」戦略を柱に、長期的には北米と欧州・中東・アフリカ(EMEA)で「低コストで最も信頼でき、かつ革新的な持続可能な包装ソリューション提供者」になることを目指しています。2024年は構造改革と収益改善策に注力し、通年の当期利益は5億5,700万ドル(2023年は2億8,800万ドル)となりました。同社は企業の簡素化や営業方針の見直しを通じて、価格・ミックスの改善と取引先の再編を進め、2025年にかけて業績回復を加速させる計画です。

重点投資の分野は製造拠点の信頼性向上と箱製造の最適化、顧客別の販売力強化です。具体的には製紙・製箱の稼働改善や地域別ボックス工場の最適化のパイロットを実行し、コスト削減と安定供給を図っています。構造的コスト削減策として、コーポレート体制の簡素化で年率約1億2,000万ドルを削減する見込みや、箱工場5か所とサウスカロライナの工場閉鎖で年率約1億1,000万ドルの削減効果を想定しています(閉鎖関連費用は2024年・2025年にかけて発生)。こうした施策は収益性を高める一方で、設備投資増や閉鎖費用など一時的な費用発生リスクも伴います。

事業拡大では大型の企業結合を積極的に活用しています。最も大きな案件としてDS Smithの買収を完了(2025年1月31日)し、買収対価は約99億ドル、発行株式は約1億7,812万株で新株保有比率は約34.1%になりました。この取引により北米とEMEAでの市場ポジションを大幅に強化するとともに、規模の面でのシナジーや市場アクセスの拡大を狙っています。欧州の競争当局条件に応じた工場の譲渡など、統合に伴うリスク管理や売却・再編の検討(例えば2024年10月のセルロース繊維事業の戦略的見直し)も並行して行っています。

技術革新と持続可能性は差別化の重要要素で、同社は特許・商標・ノウハウで知的財産を保護しつつ、製品の改良や新素材の開発に投資しています。気候変動対応では「Vision 2030」の温室効果ガス削減目標を掲げ、化石燃料からバイオマスや天然ガスへの燃料転換や省エネ投資を進めています。また、IT統合によるサイバーリスクを踏まえ、2019年に専任の最高情報セキュリティ責任者を置き、インシデント対応チームや事業継続チーム、取締役会による監督体制を整備しており、買収後のシステム統合とセキュリティ確保を重視しています。