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IONIS PHARMACEUTICALS INCIONS
事業内容
Ionis Pharmaceuticals Inc.は、RNAを標的にした治療薬の研究開発を主力とするバイオ医薬企業です。同社はアンチセンス核酸というプラットフォームを活用して、遺伝子の発現を調整する薬の創製に注力しており、希少疾患や神経、心血管など複数の適応分野で候補品を開発しています。
主な顧客は大手製薬会社や開発パートナーで、共同開発契約やライセンス供与、マイルストーン収入、ロイヤルティが収益の中心です。同社は一部の医薬品を自社で商業化する一方で、パートナーが販売する製品からのロイヤルティや提携収入で安定したキャッシュフローを得ています。
事業は、自社の研究開発プラットフォームによる創薬、パートナーとの共同開発プログラム、承認済み・商業化段階の医薬品の三分野で構成しています。同社の製品ラインは臨床段階の候補薬群と既に市場で収益を上げている薬に分かれ、臨床試験や製造は外部の契約機関と連携して進めています。
経営方針
同社は持続的な成長を、パイプラインの臨床から商業化への移行と財務基盤の強化で実現することを目指しています。具体的には、2024年9月に公募で1150万株を1株43.50ドルで売却し、手取りで約4.89億ドルを調達したほか、SPINRAZAの将来ロイヤルティをロイヤルティ・ファーマに5億ドルで売却して運転資金や臨床開発資金に充当しています(同取引に関する負債残高は2024年末で約5.42億ドル、当年のロイヤルティ支払額は約4,498万ドル)。同社はこれらの資金で複数の後期開発プログラムを進め、承認取得と自社販売の拡大により売上基盤を拡大することを狙っています。
同社は研究開発と臨床開発に重点投資し、神経領域や心血管・代謝領域を含む重点分野で差別化を図ることを目指しています。差別化策としては、RNAを標的にして病気の原因タンパク質の発現を調節する「アンチセンス」技術を基盤に、化学修飾や投与法で有効性と安全性を高める点を掲げています。大手製薬企業との共同開発(例:Biogen、AstraZeneca、Novartis、Rocheなど)を活用してリスクと費用を分担するとともに、自社での製造・研究拠点整備(カールスバッドの新研究施設、オーシャンサイドの製造施設)にも投資して臨床から市販までの一貫体制を整えています。
同社は新市場の開拓と事業拡大において、独自の商業化とパートナー戦略を併用することを目指しています。すでに一部医薬品は自社で販売を行う一方で、資金や専門性が必要なプログラムについては大手との提携で海外展開や適応拡大を図っており、共同開発による承認後のロイヤルティやマイルストーン収入を成長の柱にしています。また、既存ロイヤルティ契約の条項(例:SPINRAZAのロイヤルティが一定金額到達後に同社に戻る仕組み、475〜550百万ドルの閾値)を見据えた長期的な収益計画も組み込んでいます。
同社は技術革新を持続的な競争力の源泉と位置づけ、基盤技術の改良と外部連携を通じて新薬創出を加速することを目指しています。具体的にはアンチセンス技術の適用範囲拡大や投与最適化、候補化合物の安全性改善に注力するとともに、MetagenomiやBicycleTxなどの研究提携を通じた発見力強化を進めています。さらに、臨床試験の外部委託先を含むサプライチェーンや情報管理の強化、従業員の定着(2023年の離職率は6%で業界平均より低い)による組織的な知識蓄積も、技術革新を支える重要な施策としています。