Invitation Homes Inc.INVH

時価総額
$171.3億
PER
一戸建て賃貸住宅事業の米国最大手。入居者中心の垂直統合型管理プラットフォームとスマホアプリによる契約・保守サービスを展開。2024年12月31日時点で85,138戸を保有、NYSE上場のREIT運営。米国16の主要市場を中心に全国展開。

事業内容

Invitation Homes Inc.は米国で単一戸建て住宅を大量に保有し、賃貸するビジネスを展開する企業です。同社は住宅を取得して必要な改修を行い、入居者募集から契約、日常の管理や保守まで自社で一貫して行い、長期入居を促すサービスを提供しています。

主な顧客は賃貸住宅を借りる入居者で、家賃収入が同社の中心的な収益源です。同社はさらに他社所有の住宅の受託管理や合弁事業を通じた手数料や投資収益も得ており、これらを組み合わせて安定した収益基盤を築いています。

事業の主な柱は、物件運営(マーケティング・リーシング・入居者対応・メンテナンス)、投資・資産管理、物件の改修や新築を行うビルダーとの提携です。同社は地域ごとに現地チームを配置しつつ全国規模のITや標準手順で支援する一貫体制を持ち、2024年末時点で約85,000戸超を運用する規模を生かして入居率向上とコスト効率の改善を図っています。

経営方針

同社は保有戸数の拡大と安定した収益成長を両立することを目指しています。具体的には、2024年12月末時点で85,138戸を保有しており、建売業者との拘束力のある買付契約で2,031戸(総額約5.90億ドル)を追加取得するコミットメントを抱えています。さらにジョイントベンチャー向けの残りエクイティコミットメントは約1.77億ドルで、自己資本と共同出資を併用して慎重に拡大を図っています。配当政策は不動産投資信託(REIT)としての要件に基づき、課税所得に近い額を四半期ごとに分配する方針で、2024年の1株当たり分配金合計は1.13ドルでした。また、金利リスク管理では借入残高の約76.4%を固定化しており、短期金利が100ベーシスポイント変動した場合の年間金利影響は約720万ドルと見積もっています。

同社は差別化の核として「居住者中心(resident‑centric)」の運営を掲げ、独自の現地密着型体制と全国的なスケールを両立させています。各コア市場に配した現場の運営責任者がリーシング、管理、メンテナンスを統括し、物件ごとの賃料設定や入居者対応を最適化する一方、中央で標準化されたワークフローや大量購買によるコスト優位を実現しています。物件取得後は社内の改修チームが構造や主要設備を評価して耐久性の高い仕上げを採用するなどターンオーバー費用を抑える施策を取り入れており、こうした統合運営プラットフォームが低い空室率と高い入居継続性につながっています。社員数は2024年末で約1,750名と運営の内製化を進めています。

同社は新市場や事業領域の拡大を、既存の16コア市場での深耕と戦略的パートナーシップの両面で進めています。具体的には、ホームビルダーとの連携で新築を大量に調達する仕組みを整え、既存のMLSやポートフォリオ買収に加えて供給の少ない成長エリアでの取得を優先しています。第三者向けの管理受託やJV運営を通じた資本効率の高い拡大も重視しており、状況に応じて市場での債務買戻しや追加の資本配分を行う柔軟性を保っています。これにより地域ごとの需給動向や近隣単位のデータを活かした選別取得で、リスク調整後の総リターンを最大化する方針です。

同社は技術革新に積極的に投資し、居住者と現場運営の両方でデジタル化を推進しています。入居者向けにはモバイル対応のウェブとアプリで物件検索、バーチャルツアー、家賃支払い、保守依頼を提供し、内覧ではスマートホーム技術やセルフショーイングを活用しています。運営面ではクラウドベースの会計・工事・保守管理システムや、公開データを用いた賃料決定ツールを導入しており、入居申込の審査も外部スクリーニングと連携して迅速化しています。情報セキュリティやリスク管理にも留意しており、取締役会の委員会がサイバーリスク監督を行う仕組みも整えています。