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INNSUITES HOSPITALITY TRUSTIHT
事業内容
INNSUITES HOSPITALITY TRUSTは、ホテル物件の取得・保有・運営を主な事業とするトラストで、主に米国で中程度サービスのホテルを展開しています。同社はツーソンとアルバカーキに合計約270室のホテルを保有し、客室提供に加えて館内の簡易レストランやバー、会議・宴会室の貸出といった付帯サービスも運営しています。
利用客は出張や観光の個人客に加え、会議や小規模イベントを目的とした団体が中心で、収益は宿泊料が主力です。同社は客室稼働率や平均宿泊単価が収益の鍵であり、飲食やイベント利用、駐車などの副次収入も合わせて売上を構成しています。
事業セグメントは大きく「宿泊」「飲食・イベント」「不動産管理・賃貸」に分かれ、ブランド加盟(Best Western)と自社ブランド(InnSuites)の両方で運営しています。同社は物件をLLCやパートナーシップ経由で保有し、一部持分を外部に販売することもある一方で過半数の支配を維持し、安定的な少額配当を重視した方針で事業を運営しています。
経営方針
同社は成長戦略として、保有するホテル資産と運営利益を最大限に活用することを目指しています。具体的には、現在所有するツーソンとアルバカーキのホテルについて、今後36か月以内に一部または両ホテルの売却を進め、不動産のエクイティを現金化することで財務体質を強化する計画です。業績面では、2025会計年度の稼働率が75.91%から74.58%へ約1.75ポイント低下した一方で平均客室単価(ADR)は97.46ドルから99.68ドルへ2.22ドル上昇し、REVPARは73.98ドルから74.34ドルに改善しており、同社は2026会計年度も安定した稼働率と客室単価、コスト管理によりホテルの収益性を維持すると見込んでいます。
同社は顧客価値の向上と差別化に重点投資を行って競争力を高めることを目指しています。既にツーソンとアルバカーキの全面改装を完了し、各施設でリニューアル済みのスタジオと二室スイートを提供するとともに、無料のホットブレックファストや高速インターネットといった補完的サービスを維持しています。運営面では人件費や消耗品、マーケティング、ユーティリティなど主要コストを管理し、四半期・年次の業績連動ボーナス制度で現場の採算改善を促すなど、収益性を守るための具体的な施策を講じています。
同社は事業の多角化と資本戦略の実行にも注力しており、これも成長の重要な柱としています。具体的には、上場(NYSE AMERICAN)でのリスティングを活用できる大手の私的企業との逆合併(リバースマージャー)候補を探し、資本面での多様化を図ることを目指しています。また再生可能・クリーンエネルギー関連投資として、UniGen Power, Inc.へ計約167万ドル相当を投資(100万ドルの転換社債により1,000,000株に換算可能、約575,000株の現物取得、将来的に約200万株を上限とするワラント保有)しており、完全希薄化で15〜20%程度の出資比率に達する可能性があります。今後の資金調達ラウンドにも参加する方針を示しており、売却収益と新分野投資の組合せで長期的な株主価値向上を図る意向です。
技術革新への取り組みでは、UniGenとの協働を通じてクリーンな発電技術の商用化を支援することを目指しています。UniGenのプロトタイプ開発は報告上で約61%完了しており、シミュレーションでは従来想定より約33%燃料効率が向上、排出量はカリフォルニア州の厳しい基準の約25%にとどまるとされます。ユニットは天然ガスだけでなくエタノールや水素(燃焼時に水しか排出しない燃料)でも稼働可能とされ、需要拡大が予想される電力市場で高い成長ポテンシャルを持つ一方、技術実現や商用化には不確実性があるため、同社は取締役派遣(UniGenの取締役5名中2名)などで進捗管理とリスク監視を行い、会計上は公正価値(レベル3)評価や減損の検討を継続しています。