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IDEX CORPIEX
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事業内容
IDEX CORPは精密な流体制御機器や特殊部品を設計・製造する工業系メーカーです。同社はポンプやバルブ、計量装置などの流体ハンドリング製品に加え、科学用の流体・光学部品、消防・救助機器、締結・バンド製品といった多様な製品群を主力としています。
同社の顧客はエネルギー、自動車、航空宇宙、医療・ライフサイエンス、半導体、農業、自治体など幅広い産業にまたがっており、特定顧客への依存度は低いです。売上は製品販売が中心で、保守や消耗部品などのアフターサービスも継続的な収益源になっています。
事業は大きく三つのセグメントに整理されており、流体・計量技術(産業用ポンプやバルブ等)、ヘルス&サイエンス技術(精密流体、微細ろ過や光学関連製品)、消防・多角化製品(消防ポンプ、ディスペンシング機器、BAND‑IT等)で展開しています。世界各地に製造拠点を持ち、買収で得た高精度部品や技術を取り込みながら短納期供給とアフターサービスの強化に注力しています。
経営方針
同社は成長を有機成長と買収による成長の組み合わせで実現することを目指しています。直近の2024年実績では売上高は32億6,880万ドルで前年並み、調整後EBITDAは8億7,430万ドル、調整後1株当たり利益は7.89ドルでした。キャッシュ創出力も強く、営業CFは6億6,810万ドル、フリーキャッシュフローは6億30万ドルで調整後純利益の約101%を現金化しています。経営はこうした高いキャッシュ転換率を活かして成長投資を自前で賄うこと、並びに中長期の市場機会をとらえることを目指しています。
同社は重点的に投資する分野として、流体・計量技術(FMT)、ヘルス&サイエンス技術(HST)、消防・安全などの分野を挙げています。差別化戦略は「顧客仕様に合わせた高付加価値の専用ソリューション」を提供する点にあり、マイクロフィルトレーションのMott社買収(買収対価約9.86億ドル)や高精度流路のMuon Group買収(約7.13億ドル)などで技術と顧客基盤を強化しました。製造拠点は20カ国超に広がり、顧客集中が低い構造(2024年は単一顧客が売上の3%超にならず)を維持することで、価格競争や素材価格変動への耐性を高めています。
新市場開拓や事業拡大では、同社は引き続き買収候補の探索を行い、必要に応じて非中核事業の売却も検討する方針です。2024年には買収資金として社債500百万ドル(4.95%、2029年償還)を発行し、買収を実行しました。一方で2025年第1四半期に組織横断型への再編と階層削減を実施し、調達生産性や意思決定速度を高めることで「自己資金での成長投資」を可能にすることを狙っています。この再編に伴い、2025年における人員削減の退職手当等で約2,100万〜2,500万ドルのリストラクチャリング費用を見込んでいます。
技術革新への取り組みは、製品開発・設計・製造能力への継続的投資を通じて行われています。特にライフサイエンス用流体システムや光学フィルター、微細流路などの領域で研究開発とM&Aを組み合わせて技術ポートフォリオを拡充しており、買収で認識した無形資産(例:Mottの無形資産約4.13億ドル、Muonの無形資産約3.19億ドル)を製品化に結びつけています。また、原材料価格やインフレリスクには価格転嫁とサプライヤー施策で対処しつつ、運用効率と価格獲得(net price capture)で収益性を維持する方針です。