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Installed Building Products, Inc.IBP
事業内容
Installed Building Products, Inc.は米国を中心に住宅向けの断熱材施工を主力とする建材施工会社です。同社は断熱材の現場施工を中核に、雨どい、浴室ドア、鏡、棚、窓用ブラインド、ガレージ扉、床下防水や防火処理などの各種建材取り付けも行っています。
主要顧客は量産・注文住宅のビルダー、共同住宅や商業施設の建設会社、リフォーム業者および一般の住宅所有者で、大手ビルダーとの長期取引もあります。同社の収益は主に施工サービスに依存しており、材料費と人件費が大きなコストである一方、多くの作業員を出来高で支払うため費用が売上に連動しやすく、結果的に強いフリーキャッシュフローを生んでいます。
事業は大きく施工部門と資材を販売する流通部門に分かれ、断熱施工が依然として売上の中心ですが、補完的な建材の比率を高めて収益の多様化を進めています。同社は全国的な支店網と経験豊富な営業スタッフを持ち、既存顧客へのクロスセルや積極的な買収で市場拡大と安定化を図っています。
経営方針
同社は中長期での成長を外部成長と内部成長の両面で追求しています。直近では2024年に合計9件の買収を実行し、これらが年間約1.042億ドルの売上寄与を見込んでおり、同社は2025年も少なくとも1億ドルの年間売上寄与をもたらす買収を目指しています。オーガニックでは2024年に連結売上が前年同期比で5.9%増、既存店ベースでも約3.5%の成長を実現しており、財務面では新たな7年物タームローン(5億ドル)で借入を再構成し、株主還元面では2025年に年間変動配当1.70ドル/株と四半期配当0.37ドル/株を発表、さらに最大5億ドルの自社株買い枠を承認するなど成長投資と株主還元を両立させています。
同社は供給関係と事業ポートフォリオの拡充に重点投資することで差別化を図っています。ガラス基材のような主要原材料は四大メーカーとの長年の関係を持ち、規模を生かした調達力で有利な供給条件を確保しています。また、2013年時点で売上の約74%を占めていた断熱工事比率を2024年に約60%まで低減し、雨樋・ガレージドア・防水・シャワードア・ミラーなどの周辺建材を積極的にクロスセルすることで収益の安定化と粗利改善を図っています。加えて作業員の多くを完成件数で報酬する可変費構造と設備投資の最小化により、景気変動に対する柔軟性と高いフリーキャッシュフローの創出を目指しています。
新市場や事業拡大については、買収を主要な成長エンジンと位置付け、地理的・製品ラインの拡大を継続しています。同社は買収対象を既存市場の補完や新規製品提供が可能な事業に絞り、慎重なバリュエーションと統合計画で「価値を高める買収」を選別する方針を取っています。実際に2024年は流通セグメント強化のためWholesale Insulation Supply等を取得しており、流通・製造の拡張で販売チャネルと収益源を多角化することで、単一市場への依存を低減することを目指しています。
技術革新と運用基盤の強化にも投資を続けています。同社はサイバーセキュリティを経営リスク管理の中核に据え、内部監査担当副社長やCIOなどを含む委員会でリスク評価を行い、クラウドを含む外部プロバイダのシステムを定期的に検査・監視し、従業員教育や保険の見直しも行っています。さらに開示・内部統制についてはCOSO基準に基づく評価を実施し、報告体制と運用の信頼性向上を図ることで、成長戦略を支える安定した業務基盤の構築を目指しています。