iShares Bitcoin Trust ETFIBIT

時価総額
$517.8億
PER
ビットコイン現物を保有するETFの大手。現物ビットコインを保有するスポットETFを展開。2024年1月のSEC承認を受けて上場、2024年12月31日時点のビットコイン保有額は37,372,942,571ドル、2025年2月28日時点の発行済シェア数は1,008,160,000株。米国中心に展開。

事業内容

iShares Bitcoin Trust ETFは、ビットコインの現物価格に連動する上場投資信託(ETF)として、投資家にビットコインへの間接的な投資手段を提供しています。株式市場で売買できる形で、現物ビットコインの値動きに基づく投資成果を目指しています。

主要な顧客は機関投資家や個人投資家、証券会社などの市場参加者で、これらが同社の発行する受益権を売買します。同社の主な収益源は資産残高に応じて徴収する運用管理費用で、取引に伴う売買差額や各種手数料が収益やコストに影響します。

同社はビットコインの取得・保管・決済のために外部の保管機関や取引執行業者、決済担当者と連携して運用を行っています。発行・償還の実務は現金決済を中心に設計しており、会計や報告、保管の安全確保に重点を置いています。また、流動性確保のために指定の引受業者や取引所と協調して市場での取引円滑化を図っています。

経営方針

同社は運用資産規模の拡大と機関投資家の取り込みを目指しています。2024年の運用開始以降、財務面ではビットコインの取得コストが約373.7億ドル($37,372,942,571)に達し、同年のトラストの総リターンは112.36%という実績を示しました。こうした実績とブラックロックのブランドを背景に、既存の個人投資家に加え年金や機関投資家などの大型資金の獲得で資産規模をさらに伸ばすことを重点目標としています(発行済み株式数は2025年2月28日時点で1,008,160,000株)。

同社は保管・取引・清算の運用体制に重点投資をしています。Prime Execution AgentやCoinbase Custody、現金の管理にBNYメロンを起用するなど外部カウンターパートとの契約を整備し、取引信用(Trade Financing)やエンド・オブ・デイのスイープ処理を通じて入出庫の効率化を図っています。また、運用コスト面では2024年に運用管理料として約4,749.9万ドル(同期間の平均加重資産の約0.22%)を計上しており、手数料水準と運用インフラの両面で競合との差別化を図っています。加えて複数の認定参加者と連携することで二次市場の流動性確保にも努めています。

同社は事業拡大のために規制面での環境整備も追求しています。現状は現金ベースでの発行/償還を行っているため、将来的にはNASDAQや規制当局と協働してインカインド(現物のビットコインによる受渡し)方式の承認を得ることを目指しており、これが実現すればコスト構造や税務処理、機関投資家の参入障壁がさらに低下すると想定しています。また、国外市場や企業年金の導入を視野に入れ、ERISAや各国規制に配慮したガバナンスや開示の強化を進める計画です。

同社は技術革新とリスク管理にも注力しています。ブロックチェーン上の「オンチェーン」移転と、取引相手帳簿上の「オフチェーン」取引を使い分ける運用プロセスや、Coinbaseとの取引・保管関連の契約、資金調達枠の設定などにより決済の安定性を高めています。親会社のブラックロックが提供するAladdinとの連携や多層のサイバーセキュリティ対策(多要素認証、侵入検知、第三者リスク管理、インシデント対応計画など)を取り入れ、投資家資産の安全性と運用の信頼性を高める取り組みを進めています。