Howmet Aerospace Inc.HWM

時価総額
$852.6億
PER
航空宇宙部品や工業向け鋳造・鍛造、車両用アルミホイールの製造の最大手。Alcoa Wheelsブランドの軽量鍛造ホイール(トレーラーで最大59%の軽量化)を展開。2024年4月のGEスピンオフ後、RTXとGEが各約10%を占める主要顧客構成。北米・欧州・アジア中心に展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Howmet Aerospace Inc.は航空機エンジンや産業用途向けの金属部品を中心に事業を展開するメーカーです。同社は航空機用の精密鋳造部品や鍛造リング、機械加工部品に加え、トラックやバス向けの軽量アルミホイール(Alcoa Wheelsブランド)や高耐久のファスナーなどを手掛けています。

同社の売上は商用航空が中心で、2024年は商用航空が約52%、防衛航空が約16%、商用輸送(ホイール等)が約17%、その他の産業が約15%を占めています。GE AerospaceやRTXといった大口顧客が存在し、これら顧客の発注や業界動向が収益に大きく影響します。

事業は大きくEngine Products、Fastening Systems、Engineered Structures、Forged Wheelsの四つのセグメントに分かれています。Engine Productsはエンジン用鋳造・加工、Fastening Systemsは高強度ファスナー、Engineered Structuresは航空・防衛向け構造部品、Forged Wheelsは商用車向けアルミホイールをそれぞれ中心に提供しています。

経営方針

同社は売上高拡大と収益性向上を成長戦略の中核に据えています。2024年の売上は約74.3億ドル、セグメント調整後EBITDAは約20.1億ドル、純利益は約11.6億ドルとなっており、経営陣は2025年も商業航空市場の回復を背景に売上増と一株当たり利益の拡大を見込んでいます。株主還元面では、取締役会が2021年に承認した当初15億ドルの自社株買い枠を2024年7月にさらに20億ドル上乗せして累計35億ドルの枠となり、2024年は約5億ドルを実行しました。また、2025年の配当方針として、特別項目を除く当期純利益の15%±5%を目安に現金配当を行う方針を打ち出しています。

同社は重点投資分野として航空機用エンジン部品、耐熱合金鋳造や精密鍛造、ファスナー類、アルミホイールなどを挙げ、材料(ニッケル、チタン、アルミニウム、コバルト)と加工ノウハウを競争優位の源泉としています。具体的施策としては能力増強に向けた設備投資の拡大、設備や工程の統合による固定費削減、特定の小規模工場の売却・閉鎖による収益性改善を進めています。財務面では2022年末からの長期債務の削減を継続し、2024年には総負債を約33.2億ドルにまで引き下げ、金利負担の軽減で年間約3700万ドルの利息費用削減効果を見込んでいます。

新市場開拓と事業拡大では、同社は商業航空(2024年は売上の約52%)や防衛航空、産業用ガスタービン、商用輸送といった既存市場でのシェア拡大に加え、エンジンのスペア部品需要を重要な成長領域と位置づけています。グローバル展開も進めており、19カ国で事業を展開する拠点ネットワークを活かして北米・欧州に加え日本・中国などでの顧客取引を強化しています。資金面では最大10億ドルのコマーシャル・ペーパー枠やS‑3の棚卸登録を維持し、成長投資や買収機会への機動的対応を可能にしています。

技術革新への取り組みとして、同社は研究開発費を継続投下(2024年は約3300万ドル)し、特許・営業秘密の保護にも注力しています。2024年末時点で約950件の付与特許と220件の出願中特許、約1,570件の登録商標を保有しており、材料組成や製造プロセスの改善で差別化を図っています。また、生産性向上のための自動化やデジタル化、人材育成にも投資しており、現場向けのデジタル研修や採用効率化ツールを導入している点も技術戦略の一部です。