HANCOCK WHITNEY CORPHWC

時価総額
$50.8億
PER
商業銀行業務の大手。預金・貸出、資産運用サービスを展開。2024年に762,993株の自社株買い、2025年1月30日に四半期配当を0.45ドルに増配、コモンエクイティTier1比率14.14%(2024年12月31日時点)の堅固な資本水準。米国南部中心に展開。

事業内容

HANCOCK WHITNEY CORPは米国南部を拠点とする銀行持株会社で、地域の個人・法人向けに幅広い金融サービスを展開しています。

同社は普通預金や定期預金、企業向け貸出や住宅ローンに加え、資産運用・信託、決済や現金管理といった商品を支店網とオンラインチャネルで提供しています。

主要顧客は地域の中小企業や商業不動産事業者、個人預金者や資産運用を求める顧客で、地元市場に強い結びつきを持っています。

同社の収益は貸出からの利息収入と口座・融資・資産管理などの手数料収入が中心で、預金残高からの利ざやが利益の大きな源泉になっています。

事業は大きくコミュニティバンキング、住宅ローン・モーゲージ、資産運用・信託、法人向けトレジャリーサービスなどのセグメントに分かれており、それぞれ支店やATM、オンライン・モバイルで顧客接点を持っています。

同社は成長のために地元銀行の買収や支店展開を行いながら、業務効率化と顧客体験向上のために情報技術とサイバーセキュリティへの投資を続けています。

競争環境は大手銀行やフィンテックの台頭で厳しく、同社は費用管理や資本健全性の維持とともに配当や自己株買いで株主還元を図っています。

将来の成長は地域経済や金利動向、規制対応やデジタル化の成否が影響するため、注視が必要です。

経営方針

同社は貸出残高の拡大と手数料等の非金利収入の増加を通じた収益成長を目指しています。2024年は純利益が4億6,080万ドル、希薄化後1株当たり利益が5.28ドル、調整後の前税引き・プロビジョン前純収益が6億4,100万ドルと堅調な業績を示しており、こうした実績を踏まえて今後も利ザヤや手数料での拡大を図る方針です。同社は一方で効率化にも注力しており、経費対収益を示す効率比率は55.36%にとどめつつ、自己資本の健全性を示すコモン・エクイティ・ティア1比率を14.14%(2024年末)まで高めるなど、収益成長と資本維持の両立を目指しています。

同社が重点的に投資する分野は、法人・商業ローンの深掘りや資産運用・信託といった手数料ビジネスの強化です。特に大型のシンジケート融資のエクスポージャーを意図的に縮小し(共有信用ポートフォリオで3.076億ドルの削減)、顧客との「フルサービス」関係に注力することで差別化を図っています。また、配当や自社株買いによる株主還元も進めており、2024年は年間配当1.50ドルに引き上げ、2024年の買戻しでは76万2,993株を平均49.40ドルで取得するなど、資本の効率的配分を通じて投資家価値を高める施策を実行しています。

新市場開拓や事業拡大に関しては、内部成長の継続に加え、選択的な買収や新規支店開設(de novo branching)を用いる意向を示しています。実際に2025年第2四半期に予定されるSabal Trust Companyの買収など、信託・資産管理分野の強化を通じて提供領域を拡大する計画です。ただし同社も買収や新事業導入に伴う規制承認や統合リスクを認識しており、対象市場は従来の営業地域や競争上有利と見なす地域に重点を置いて慎重に拡大を図る方針です。

技術革新への取り組みでは、顧客体験の向上と業務効率化を目的に継続的な投資を行うことを同社は明確にしています。オンライン/モバイルバンキングやATM、コールセンターといったチャネル強化と合わせ、サイバーセキュリティ対策にも力を入れており、従業員向けの啓発・フィッシング検査、脆弱性スキャンや外部業者による侵入テスト、サイバーディフェンスセンターによる脅威監視などを実施しています。これらは短期的に支出を増やす一方で顧客満足と長期成長を支える投資と位置付けられており、同社は費用管理と成長投資のバランスを取りながらデジタル化を推進しています。