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Huntsman CORPHUN
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事業内容
Huntsman CORPは工業向けおよび高機能用途向けの化学製品を製造する企業で、接着剤や高性能樹脂、ポリウレタン製品、特殊添加剤、炭素ナノ材料などを主力としています。同社は原料の合成から配合・生産まで手がけ、軽量化や耐熱性、電気絶縁といった要求の高い用途に応える材料を提供しています。
主要な顧客は航空宇宙、自動車、電力インフラ、塗料・建設、一般産業などのメーカーで、OEMや一次供給者向けの大口販売と専門ディストリビューター、一般流通チャネルを併用して販路を広げています。同社は地域ごとの営業チームとキーアカウント担当で長期的な顧客関係を維持し、製品販売が収益の中心になっています。
事業は高機能材料とポリウレタンを中心としたセグメントに分かれ、北米・欧州・アジアなどに合成・調合・生産拠点を持っています。同社は複数の研究開発拠点で新素材や用途開発に投資し、メタンからの炭素材料やクリーンな水素生成の実証プラントなど成長分野にも取り組んでいます。競合は大手化学メーカーが中心で、同社は製品性能と技術サポートで差別化を図っています。
経営方針
同社は付加価値の高い製品群と下流(顧客近接型)ビジネスの拡大を成長の中核に据えています。具体的には、MDI(ポリウレタンの主要原料)やポリオールなどの差別化した原料に加え、配合済みの「システム」製品や熱可塑性ポリウレタン(TPU)などを伸ばす方針です。成長は有機的な設備投資と、過去十年にわたるボルトオン型の買収を組み合わせて実行しており、株主還元については取締役会が最大20億ドルの自己株買いを承認している(2022年増額)点を明示しています。会社はフリーキャッシュフローを重視し、資金の使途を設備投資と選択的な自社株取得でバランスさせることを目指しています。
同社は差別化の源泉を「配合力」と「技術サポート」に置いています。顧客ごとに設計・調合したシステムを提供することで、単なる原料販売より高い付加価値を確保しており、こうした下流のシステムハウスを顧客近傍に配置してきました。ポリウレタン分野だけでも6,200社以上の顧客に90か国超で販売しており、Advanced Materials部門でも約1,700社をカバーしています。また、原料の垂直統合(例:MDI用のアニリンの内製化や安定的供給確保)によって供給競争力を高めることも差別化戦略の一環です。
新市場開拓と事業拡大では、技術のスケールアップと買収の両輪を進めています。例として、メタンを原料にしてMIRALON®と呼ぶカーボンナノ材料とクリーン水素を生産するためのパイロットプラントをテキサス州サンアントニオに設置し、商業規模(キロトン級)リアクターへの拡大を目指している点が挙げられます。これにより、熱可塑材料や電池添加剤市場、さらに化学・鉄鋼・輸送向けの水素供給といった新たな需要に応える計画です。加えて、2024年1月にSLICの資産を取得してポリウレタン事業へ統合するなど、買収による事業拡大も継続しています。
技術革新への取り組みは経営戦略の中で重視されており、同社は複数の研究開発拠点(バーゼル、テキサスのThe Woodlands、メリマック、上海など)を運営しています。知財面では未満特許数が約2,225件、出願中が約965件と大規模なポートフォリオを保有し、製品差別化と顧客ロックインに活用しています。また、情報システムや製造現場の安全確保のためにサイバーセキュリティ対策をNISTフレームワークに合わせて整備し、外部専門家を活用して定期的な監査・評価を行うなど、技術と運用の両面で事業継続性を高めることを目指しています。