H World Group LtdHTHT

時価総額
PER
多ブランドのホテル運営の大手。グローバル統一のデジタルプラットフォーム(H‑HUB/H‑HOS/H‑TONE)と会員制ロイヤルティを展開。2024年11月報告で大手資産運用会社が11.4%保有、転換社債(2026年償還)発行。中国を中心に欧州・東南アジア・中東で展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
116文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

H World Group Ltdは中国を中心に世界各地でホテルの開発・運営・フランチャイズ事業を展開する総合宿泊企業です。宿泊施設の直接運営や賃貸、オーナー向けのマネジメント契約、フランチャイズ契約を通じて多様な宿泊サービスを提供しています。

同社の主要な顧客は個人の出張・観光客と法人顧客で、販売チャネルは自社アプリや企業向け販売、主要な旅行会社を通じた直接販売と間接販売に分かれます。収益は客室収入と飲食収入が基盤で、フランチャイズ手数料や運営管理料、会員向けサービスからの収入も重要な柱になっています。

同社はエコノミーから中高級まで複数のホテルブランドを保有し、ブランドごとに異なる価格帯とサービスを展開しています。さらにH Rewardsという会員プログラムや、H‑HUB、H‑HOS、H‑TONEなどのグループ共通のデジタル基盤、従業員教育プログラムを活用して直販強化と運営効率の向上を図っています。

経営方針

同社は新規ホテルの開発とブランド拡充によるスケール拡大を成長の柱としています。具体的には魅力的な立地での新規ホテル開発を進めるとともに、新ブランドの立ち上げで顧客層を広げることを目指しています。2023年1月の追加公募で約2億9,160万ドルの純収入を確保しており、これをポストコロナの需要回復期における成長投資、運転資金、そして長期的な競争力強化に充てています。従業員数は2024年に28,502人に達しており、規模の拡大と現場運営の強化を同時に進めています。

同社は技術とブランド資産への重点投資で差別化を図っています。グループはブランドやフランチャイズ権など無形資産を保有しており、2024年末時点での無形資産は約47.76億人民元、のれんは約52.21億人民元と規模が大きい一方、2023年と2024年にはそれぞれ1.66億人民元、3.91億人民元の減損を計上しており、資産価値の定期的な評価と見直しを行っています。現場運営力ではHuazhu Academyによる統一研修や運営基準の徹底でサービス品質を標準化し、ロイヤルティプログラム「H Rewards」を通じて顧客の継続利用を促進しています。

海外市場や新規事業の開拓にも積極的です。同社は中国を中核に、欧州、中東、東南アジアといった地域で事業展開を進めており、現地のホテル開発やフランチャイズ展開を通じて地理的なカバレッジを拡大する方針です。買収や戦略投資も選択肢として残しているものの、中国の独占禁止法や海外上場に関する規制の影響を踏まえ、必要な届出や審査を意識した取引遂行を行っています。資金面では既存の現金・銀行借入枠に加え、将来的な追加資金調達の可能性を想定しつつ、財務の柔軟性を保ちながら拡大を図っています。

技術革新は同社の競争優位を支える重要戦略です。グループは上海、シンガポール、フランクフルトのデータセンターを軸に、全社共通のデジタル基盤を構築し、販売在庫を一元管理する「H‑HUB」、宿泊運営を支える「H‑HOS」、社内連携を高める「H‑TONE」を展開しています。これらは人工知能や大量データ解析、機器の連携といった技術を現場運営や顧客管理に結びつけ、直接販売チャネルや20以上の外部流通チャネルとの接続で収益性向上を狙います。加えて、顧客データ保護のための情報セキュリティ委員会や専任の情報保安センターを設置し、技術投資と合わせて運用上のリスク管理も強化しています。