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HERITAGE COMMERCE CORPHTBK
事業内容
HERITAGE COMMERCE CORPは持株会社として、主に銀行業を通じて商業向け融資と預金・決済サービスを提供することを事業の中核に据えています。銀行子会社は地域の中小企業や個人を対象に長期の信用供与や預金口座、オンライン/モバイルを使った入出金サービスを中心に展開しています。
同社の主要顧客は中小企業、事業主、不動産関連や建設業など地元の事業者で、借り手から得る利息収入が収益の大きな柱です。預金は関係重視の口座で集め、預金残高を融資の条件とすることもあり、預金・貸出の金利差や各種手数料で利益を上げています。
事業の具体的な商品ラインは、商業・産業向けローン、商業用不動産ローン、建設ローン、SBA(小規模事業支援)ローンに加え、住宅ローンや住宅担保ラインなど多様な貸出があります。預金面では無利息の当座預金や利付当座、マネーマーケット、定期預金や普通預金を扱い、遠隔入金やモバイル入金、オンラインでの振込・ACH、電子明細といったデジタルサービスや、ファクタリングを行う子会社による資金調達支援などの補完サービスも提供しています。
経営方針
同社は地域に根ざした中小企業向けの関係重視型バンキングで着実な成長を目指しています。実際に2024年には預金残高を10%増やし、総貸出金も4%増加させるなど有形の成果を出しており、ナスダック上場企業として20年超の歴史を持つ点を成長の基盤にしています。市場価値の指標としては、2024年6月30日時点での非関係者保有株式時価が約4.13億ドル(1株当たり$8.70、47,494,947株基準)となっており、資本面や資金調達の余地を踏まえつつ、まずは有機的成長を優先する方針です。
同社は差別化のために「関係性」を中核に投資しています。サンフランシスコ湾岸とシリコンバレーを中心に17の支店網を維持し、融資先に口座維持を求めるなど預金と貸出を両輪で獲得する仕組みを強化しています。さらに法人向けの遠隔入金(リモート/モバイルデポジット)、ICSやCDARSといった大口預金の保険スキームの提供、そして債権のファクタリングを手掛けるBay View Fundingを通じたサービス拡充で、地域中小企業へのワンストップ支援を目指しています。
新市場開拓と事業拡大は慎重かつ機会志向で進められています。同社は基本的に有機成長を優先しつつ、戦略的な買収を「機会があれば」検討する方針で、買収時の統合リスクや規制承認の難しさを認識しています。そのため組織強化にも注力しており、2024年〜2025年にかけて最高執行責任者、最高人事責任者、法務責任者を補強し、最高財務責任者の採用を会計・財務テクノロジーの近代化を重視して進めています。加えて、法的な貸出上限を超える案件ではローン参加を通じて対応するなど、資金運用の柔軟性も確保しています。
同社は技術革新とサイバーセキュリティの強化にも重点投資を行っています。オンラインバンキングや法人向けの送金・決済サービス、第三者の不正対策ツールを取り入れ、顧客利便性とリスク管理の両立を図っています。さらに財務報告や業務の効率化を目的とした会計・財務テクノロジーの導入をCFO採用の重要要件に掲げており、同時に増大するサイバーリスクに対応するためのコスト増も見込んでいる点が特徴です。