HOST HOTELS & RESORTS, INC.HST

時価総額
$116.6億
PER
高級・上位アップスケールホテルを中核とする宿泊REITの最大手。81軒・約4万3,400室のホテルポートフォリオを保有・運用を展開。NASDAQ上場で1998年設立。米国中心、海外はブラジルとカナダで5軒。

事業内容

Host Hotels & Resorts, Inc.は米国を中心にラグジュアリーや上級クラスのホテル不動産を保有する上場REITの大手です。同社は物件の所有と価値向上を主な事業とし、ホテルの運営自体は外部の運営会社にまかせながら資産管理や資本配分でリターンを追求しています。

同社の顧客層は個人のビジネス客やレジャー客に加え、学会・企業の団体需要や各種イベントに広がり、客室収入、飲食・料飲、会議施設の貸出や長期契約が主な収益源です。運営会社には基礎管理料と業績連動の報酬を支払いながら、所有者としては純営業収益や売却益、ジョイントベンチャーからの分配を通じて投資家へ配当や資本還元を行っています。

同社はリゾート地の宿泊施設、コンベンション需要の高い都市型ホテル、高級都市ホテルという主要な資産タイプに重点を置き、取得や必要な改装・拡張などの投資で競争力を高めています。多くの物件を大手ブランド(例:MarriottやHyatt等)の下で展開しつつ、一部は独立系やソフトブランドで差別化し、規模を生かしたデータ分析や資産運用で収益改善を図っています。

経営方針

同社は米国の主要都市とリゾートにある高品質な宿泊不動産のリーディングオーナーであることを目指しています。20‑25年のマクロ環境を踏まえつつ、資産価値の上昇、利益成長、配当を通じて株主に優れた長期リスク調整後リターンを提供することが成長戦略の中核です。保有ポートフォリオは81軒・約4.34万室と大規模で、2025年の同等比較RevPAR(客室収入)成長は0.5%〜2.5%を見込んでいます。一方で人件費や保険料、不動産税の上昇や一部都市での新たな労働協約の影響でマージンは2024年比で圧迫されると想定しており、投資判断は慎重な資本配分の下で行われます。

同社は重点的に上級〜ラグジュアリー領域やリゾート、コンベンション向けホテル、高級都市型ホテルへの投資を行い差別化を図っています。具体的にはマリオットやハイアットといった大手ブランドとの提携を活用し、エンタープライズ・アナリティクスで各ホテルをベンチマークして収益向上やコスト効率化を推進します。設備投資面では客室やロビー、宴会施設の大規模改装、機械系更新、省エネ・節水対策(LED照明・高効率機器・建物自動化・太陽光)などのROIプロジェクトを優先し、物件価値の最大化と長期的な競争優位の確保を目指しています。

新規市場開拓や事業拡大は機会主導で進められ、好条件の上級・ラグジュアリーホテルがあれば単独資産やポートフォリオ買収、ジョイントベンチャー、あるいは他REIT等とのM&Aも検討します。資金調達は売却益や自己資本、信用枠、債務の組合せを想定しており、資本循環(カピタルリサイクル)を通じて成長投資と株主還元のバランスをとります。地域別では供給増が平均以下とみられる一方でナッシュビルやオースティンなど一部市場で供給増が見込まれ、マウイの山火事やサンフランシスコの回復遅れが短期的に業績を鈍らせるリスクがあるため、開発のパイプラインは金利や建設資金環境が改善するまで慎重に管理します。

同社は技術革新と企業責任の両面にも取り組んでいます。独自のビジネス・インテリジェンス基盤で収益管理や投資採算の精緻化を進め、サイバーセキュリティはNISTの枠組みを用いたリスク管理プログラムで重要システムを保護しています。環境・社会・ガバナンス(ESG)対応は評価や規制の変化でコストと機会の両面を持つため、グリーン認証取得や省エネ投資を通じて対応を強化しています。人的資本にも注力しており、本社従業員165名(平均勤続年数約14年)に対して研修や多様性推進の施策を実施し、ホテル運営上の労働リスク(一部ホテルでの労働組合契約による賃金上昇)にも備えています。