HENRY SCHEIN INCHSIC

時価総額
$92.8億
PER
歯科・医療用品の世界最大手。歯科消耗品・機器、診療所向けソフト、インプラント・バイオマテリアルをEコマースと直販で展開。2025年1月にKKRが2.5億ドルを追加出資し12%保有の戦略的パートナー契約締結。北米・欧州を中心に36の物流拠点から90カ国以上へ供給、約10万診療所の利用。

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企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Henry Schein Inc. は、歯科や医療の診療現場向けに用品・機器・関連サービスを世界規模で流通・販売する企業です。主力は診療で使う消耗品や大型機器の販売と、診療所運営を支えるソフトウェアや修理・教育などの付加価値サービスです。

同社の主要顧客は歯科医院や医師の診療所、外来施設および在宅ケアを受ける患者で、オフィスベースの医療機関が中心となっています。売上構成では流通と付加価値サービスが約85%を占め、その内訳は歯科関連が約53%、医療関連が約32%で、専門製品やテクノロジーが残りを占めます。

事業は大きく「流通・付加価値サービス」「専門製品」「テクノロジー」の三つのセグメントに分かれています。流通では消耗品・器材・在宅医療用品の供給やECによる注文・配送と修理・金融サービスを展開し、専門製品ではインプラントやバイオマテリアルを開発・製造・販売、テクノロジー部門では診療所向けの業務ソフトや患者管理ツールを提供して販売網と連携させています。

経営方針

同社はBOLD+1戦略に基づき、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得によって持続的な成長を図ることを目指しています。具体的には、約100万人の既存顧客基盤への売上浸透を高めるとともに、グローバル・スペシャルティ製品(売上構成比約11%)とグローバル・テクノロジー(約5%)の拡大に注力し、流通・付加価値サービスが現在の売上の約85%を占める中で事業ポートフォリオの高付加価値化を進めています。また資本政策では自社株買いプログラム(総額6.0億ドル枠)で既に約51億ドルを回収し、外部からはKKRが追加で2.5億ドルを出資しており、同社はこの資金やパートナーシップを成長投資に活用する方針です。

重点投資分野では、同社は専用ブランドと技術・サービスの強化を差別化の柱としています。具体的施策としては自社ブランドを含む30万点超の商品在庫の最適化、世界36拠点の配送センターと15の製造拠点を活用した迅速な供給体制、ならびに設備修理を含む129のサービス拠点による現場サポートの提供で顧客ロイヤルティを高めています。販売面ではフィールド営業とテレセールス、電子商取引の強化で1日平均約14万2千箱を出荷するオペレーションを支え、専門製品やソフトのクロスセルで単一顧客当たりの売上を引き上げることを目指しています。買収も差別化手段で、製品開発に関する無形資産を取得した例(例:TriMedの製品開発関連で約2.04億ドル計上)など、顧客や技術を獲得するM&Aを今後も継続します。

新市場開拓と事業拡大は、伝統的な診療所以外のチャネルへの進出と国際展開で具体化しています。家庭向け医療や訪問医療、緊急・小型クリニック、リテール型診療など新たな提供場所に製品・サービスを拡げるとともに、地理的には約90か国で専門製品を販売する既存ネットワークを活かし、成長市場や未展開地域での買収・合弁を通じて市場シェアを拡大する計画です。戦略的パートナーシップや追加資金(KKRの出資12%保有の現状、最大14.9%まで取得可能)を利用して外部成長を加速しつつ、組織の効率化策(2024年のリストラ費用は約7300万ドル)で投資効率を高める方針です。

技術革新については、同社はデジタル化とAIの導入で顧客体験と内部効率を高めることを目指しています。具体的には歯科向け運用ソフト等で約10万の診療所ユーザーと32万1千の消費者アカウントを抱え、これらのソリューションを横展開することでクロスセルを強化しています。サイバーセキュリティ面ではNISTの枠組みに沿った対策を実施し、ISO27001の部分適合監査を外部で受けるなど体制整備を進め、最高情報セキュリティ責任者(CISO)を中心とした専任組織でリスク管理を行っています。一方で、AI導入は顧客利便性を高める一方でデータ保護や知財リスクを伴うため、同社は安全管理と迅速な導入の両立を目指して投資を続けています。