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Heritage Insurance Holdings, Inc.HRTG
事業内容
Heritage Insurance Holdings, Inc.は住宅物件保険を中核とする持株会社で、個人向けの住宅(オーナー・借家人)保険を主力商品としています。同社は独立系代理店や大手小売代理店のネットワークを通じて保険を販売し、場合によっては自動車保険と組み合わせたパッケージ商品も扱っています。2024年の総保険料引受額は約14億ドルでした。
主要な顧客は個人の住宅保有者や借家人で、販売チャネルは独立系代理店と一部の大手代理店が中心です。同社の収益は保険料収入が柱で、保険引受利益や投資収入、再保険に伴う調整(セディング手数料等)で構成されており、2024年の営業利益は約9360万ドル、総資産は約25億ドル、株主資本は約2.9億ドルです。
事業は複数の保険子会社(例えば Heritage P&C、NBIC、Zephyr)や再保険や特定目的会社を含む構成で、請求対応、浸水対策、修理サービスを内製化する垂直統合モデルを採っています。リスク管理では選択的な引受と高格付けの再保険会社との関係、またデータ分析を取り入れたアンダーライティングに注力し、被害対応力向上のためのIT投資(クレームシステム更新は2023年完了、保険・請求システムは2025年中頃稼働見込み)も進めています。
経営方針
同社は成長戦略として、粗保険料ベースでポートフォリオを最適化し、長期的な株主リターンを最大化すると同時に単一の大規模災害リスクを抑制することを目指しています。2024年の総発行保険料は約14億ドル、営業利益は約9,360万ドル、総資産は約25億ドル、株主資本は約2.9億ドルといった規模感を背景に、収益性向上のために選別的な引受(リスクを厳選して保険を引き受ける)と適切な料率設定を継続しています。具体的には、沿岸部の暴風リスクを踏まえ再保険を活用しながら、意図的に保険契約数を絞りつつ一契約あたりの平均保険料を引き上げる施策を進めています。
同社は差別化のために、データ分析と垂直統合によるクレーム処理力を重視しています。引受判断には自社のデータ分析を組み込み、選別的なポリシー取得基準で損害率の改善を図っています。また、損害査定・水害緩和・修理サービスを自社で保有・管理することで外部業者への依存を減らし、迅速な初動対応による損失抑制と顧客満足度向上を目指しています。クレーム関連には260人超の専任要員を配置し、子会社のCANを通じて緊急対応や緩和サービスを提供している点も競争優位です。
新市場や事業拡大に関しては、大手独立代理店との関係強化や自動車保険とのパッケージ提携を通じたチャネル拡大を目指しています。地理的拡大や新たな商品ラインの導入も検討しており、再保険面では過失超過型やクォータシェアなど伝統的な手段に加え、ケイタストロフィ債(Citrus Re)や自社再保険子会社(Osprey)を組み合わせてコスト効率の良いリスク移転を模索しています。財務面では、子会社ごとの余剰資本(例:Heritage P&C 約1.767億ドル、NBIC 約6,980万ドル、Zephyr 約3,910万ドル)を重視しつつ、資本効率向上のための株式買戻し枠や資金調達の選択肢を維持しています。
同社は技術革新に積極的に投資しており、顧客と代理店へのサービス向上を目標としています。2023年に共通のクレームシステムへの移行を完了し、2024年第三四半期からポリシー・請求の新システム移行を始めており、2025年中頃の本稼働を見込んでいます。投資ポートフォリオについても保険金支払いを最優先に据え、約6.63億ドルの運用資産の大部分を高品質な固定利付債で運用(格付け平均は「A」、平均デュレーションは約3.06年)するなど、安定した資金繰りと金利変動への備えを両立する方針です。