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Healthcare Realty Trust IncHR
事業内容
Healthcare Realty Trust Incは、病院や医療機関向けの外来医療用不動産(医療用オフィスビルや外来診療施設)の取得、開発、所有、運営を行う不動産投資信託(REIT)です。同社は医療現場に特化した物件を保有して長期賃貸を行い、安定した賃料収入を主力としています。
主要な顧客は病院やヘルスシステム、医師グループ、診療所、画像検査や外来手術を行う医療提供者で、これらと結ぶ長期賃貸契約が収益の中心となっています。同社はさらに共同出資による投資収益や物件売却益、管理手数料など複数の収入源でポートフォリオの収益性を支えています。
事業の中身は、病院キャンパスに隣接する医療用オフィスと地域の外来施設に分かれ、地上権や借地契約を含む保有形態や共同事業の比率が高い点が特徴です。同社は新規開発や再開発、資産売買といった投資活動や財務・リスク管理を通じてポートフォリオを最適化し、環境・社会・ガバナンス(ESG)や従業員育成への取り組みも進めて長期的な価値創出を目指しています。
経営方針
同社は長期的に資本効率の改善と株主価値の最大化を目指しています。具体的には、自己株式の積極的な取得で株主還元を強化しており、2024年に3080万株を平均16.56ドルで買い戻し、総額約5.098億ドルを投じました。取締役会は2024年10月29日に追加で最大3億ドルの買戻し枠を承認しており、2024年12月31日時点で約2.37億ドルの買戻し余力があります。同時に、同年は67物件を合計15億ドルで処分し、手取りで約12億ドルの資金を確保するなど、資産入替によるキャッシュ創出とバランスシートの最適化を進めています。保有不動産は2024年末で約93億ドル規模で、配当や将来投資に充てる営業キャッシュフローの確保を重視しています。
同社は主に外来医療用の不動産に重点投資しており、病院キャンパス近接の医療用オフィスビル(MOB)を差別化の核としています。地上権(グラウンドリース)で保有する物件は215件、総投資額で約50億ドルに上り、立地や既存の医療ネットワークとの関係性で競合優位を築いています。賃料の年間固定上昇率は加重平均で約2.82%に設定されており、長期にわたる安定収入を目指す一方で、再開発・新築にも注力しており、開発関連の追求費用は資本化の方針で管理(2024年末の資本化された追求費は約490万ドル)しています。取引や共同事業においては一部資産をジョイントベンチャーへ移管しつつ非支配持分を保持するなど、リスク分散と資本効率の両立を図っています。
同社は新市場の開拓と事業拡大を、選別された仕分けと資本配分で進めています。2024年は大きな買収を実行していないものの、処分で得た資金や借入・自己株買いの余力を用いて収益性の高い案件や共同投資に振り向ける方針を掲げています。地域集中のリスクにも留意しており、2024年末時点でダラス(8.5%)、ヒューストン(5.4%)、シアトル(5.2%)に投資集中があるため、これらの市場での資産の最適化や新規市場での慎重な展開を図る計画です。人材確保のための株式報酬制度も充実させており、2024年の株式関連費用は約3180万ドルに達しています。
同社は技術とデータを活用して財務リスクとESG(環境・社会・ガバナンス)対応を強化しています。金利上昇リスクに対しては約11億ドル分の金利派生商品で短期金利をヘッジしており、評価や将来キャッシュフローの割引には詳細なモデリングを用いてインパクトを想定しています。サステナビリティ面では環境・社会・ガバナンス指標の統合に取り組み、GRESBやSASBに基づく情報開示や気候リスク開示の整備を進めています。また、役員報酬の一部にESG目標を組み入れるなど、運営面での透明性と長期的なポートフォリオ価値向上を目指す体制を整備しています。