- 米国企業
- Hudson Pacific Properties, Inc.
Hudson Pacific Properties, Inc.HPP
事業内容
Hudson Pacific Properties, Inc.は一等級のオフィスビルと映像スタジオを取得・開発・保有・運営する不動産会社です。同社は賃貸オフィスと撮影スタジオのほか、スタジオ向けの制作関連サービスまで一貫して手がけ、物件の再開発や新規開発を通じて付加価値を創出しています。
同社の主要な顧客はテクノロジー企業やメディア・エンターテインメント関連の入居者で、収益は主にテナントからの賃料とスタジオ利用料、制作サービスや管理手数料から成り立っています。加えて、共同事業や資産の売却・再配置により資本を循環させ、ポートフォリオの成長と収益性を図っています。
事業は大きくオフィス事業、スタジオ事業、制作サービス事業に分かれます。オフィスは西海岸の技術集積地に集中し、スタジオはハリウッドなどの主要メディア市場で稼働、制作サービスは機材やロケ支援などで顧客の撮影需要に応えています。さらに、同社は持続可能性や健康・安全面の取り組みを差別化要因として強化しています。
経営方針
同社は長期的な成長をオフィスとスタジオという二本柱で実現することを目指しています。具体的には、技術系・メディア系企業が集まる参入障壁の高い地域にあるクラスA物件を中心に、オフマーケットでの取得や付加価値をつける再生投資を通じて賃料上昇や稼働率改善を取りに行きます。投資用不動産の純額は2024年末時点で約65億ドル、連結総資産は約81億ドル規模であり、開発は既存資産の付帯用地を中心に慎重に進める一方、状況に応じて資産売却で資本を回収する姿勢を保っています。
同社はスタジオとオフィス両方を上場企業として一貫して運営する点で差別化を図っています。具体的施策としては、制作サービス会社の買収・運営によるスタジオ関連サービスの拡充、テナントニーズに合わせたスペース設計や専用改善投資(リーシング手当やテナント改修費)による積極的なリーシングと資産運営を掲げています。こうした戦略を支えるのが業界に深く根ざした経営陣と、開発・金融・仲介などにわたる長年のパートナー網であり、オフマーケット案件や共同投資の機会を通じて競合より優位に立つことを狙っています。
同社は成長と安全性を両立するため、柔軟かつ保守的なバランスシート運用を重視しています。複数の資金調達手段(担保・無担保の借入、共同事業、必要に応じた増資)を維持しつつ、レバレッジを抑える方針で長期的な資本配分を行います。事業拡大面では、スタジオの地理的範囲をオンロケーション撮影や海外市場に広げるために制作サービス企業の買収・提携を進め、共同投資やパートナーシップを使ってリスクを分散しながら成長機会を取り込む計画です。
同社は技術とサステナビリティを経営の中核に据えることを目指しています。サイバーセキュリティでは米国のガイドラインをもとにしたリスク管理体制を整え、取締役会の監督下で四半期ごとの報告を行っています。環境面では「Better Blueprint」という枠組みを掲げ、2020年以降すでに事業運営のカーボンニュートラルを達成しており、2018年比で2030年までにScope1・2の温室効果ガスを50%削減する目標や、稼働中のオフィスポートフォリオの少なくとも50%を2030年までに健康認証(Fitwel)にする目標を公表しています。これらは省エネ認証や空気品質向上、リサイクル・堆肥化の導入といった具体的施策に紐づいています。