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HighPeak Energy, Inc.HPK
事業内容
HighPeak Energy, Inc.は米国テキサス州を中心に原油と天然ガスの探査・生産を主力とするエネルギー会社です。同社は原油、天然ガス、天然ガス液(NGL)を生産し、井戸の操業や現場インフラの維持管理を行い、採掘した資源を市場に供給しています。
同社の収益は生産物の現場での販売が中心で、原油はウェルヘッド付近で買い手に引き渡し、天然ガスは処理業者と締結する収益分配型や手数料混合型の契約を通じて販売します。主要な買い手にはDelekやETCなどの大口顧客があり、一部の顧客に依存する構造が収益や流動性に影響を与えることがあります。
同社はシグナルピークとフラットトップを主な操業エリアとし、HannathonやAlamoといった買収を通じて資産規模を拡大してきました。井戸開発に加えて現場の集荷パイプラインや水供給・処理インフラを整備し、約47名の従業員で安全重視の運営を行いながら資産価値の最大化を図っています。
経営方針
同社は中期的にミッドランド盆地資産の価値最大化と財務健全性の維持を目指しています。具体的には、2025年は操業の柔軟性を保ちつつ掘削リグを2基稼働させる計画を掲げ、掘削や仕上げ作業の実施は経済性に基づき月次で判断するとしています。業績面では2024年の当期純利益は9,506.9万ドルと前年の2億1,586.6万ドルから減少しているものの、配当や自社株買いを通じた株主還元も重視しており、2024年承認の自社株買い枠75.0百万ドルの下で約3510万ドル分の株式を買戻し、さらに2025年には四半期配当を1株当たり0.04ドルに設定し約500万ドルを支払う見込みです。
重点投資分野はミッドランド盆地内の生産・収集インフラと隣接する鉱区の買収です。2022年のハナソン買収では約3億3,720万ドル、同年のアラモ買収では約1億5,610万ドルと1,100万ドルを投じるなど、Flat TopやSignal Peak周辺の井戸・水処理設備・場内集油パイプラインを取得してきました。こうしたインフラ投資により流通コストの低減や納入先との長期契約の履行を図っており、たとえばDelekとの契約は初期10年間で日量23,500バレルの最低引取義務が設定されている等、販売面での安定性を確保する施策を取っています。
新規市場開拓や事業拡大については、従来の油ガス開発に加え戦略的選択肢の検討を継続しています。具体的には、売却や買収、資産売却、債務リファイナンス、知的財産の組織的活用、合併など複数の選択肢を取締役会が検討しており、テキサス・キャピタル・セキュリティーズとウェルズ・ファーゴを助言先に据えて探索的なレビューを行っています。また、価格変動リスクに対しては天然ガスの固定価格スワップを導入(2025年3月〜2026年2月、日量合計30,000 MMBtu相当を1MMBtu当たり4.43ドルでヘッジ)するなど、収益の安定化を図る具体的施策を実行しています。資金面では運転資金や営業キャッシュフロー、シニア・クレジット・ファシリティからの借入れを活用して投資や自社株買いを賄う計画です。
技術革新とリスク管理では、情報セキュリティと内部統制の強化に注力しています。同社はリスクベースのサイバーセキュリティ体制を導入し、監視・検知システム、年次の従業員向け啓発教育、インシデント対応計画(IRP)の演習と改善を実施しており、専門家チームが取締役会や経営陣と連携しています。現場面では掘削や完了作業の月次評価を通じて経済性を見極めるデータ駆動の運用を推進しており、環境面では将来の井戸封鎖や施設の原状回復に備えた資産償却引当(2024年末で約1,475万ドル)も計上するなど、運用と規制対応の両面で技術的・管理的投資を進めています。