HOOKER FURNISHINGS CorpHOFT

時価総額
$1.1億
PER
住宅・ホスピタリティ向け家具の大手、設立1924年。木製ケース家具、革・布張り家具、照明、屋外家具を展開。2022年1月のブランド買収や2023年の買収、2000万ドルの自社株買い実施。米国・カナダ中心、2025会計年度の国際売上比率は2%未満。

事業内容

Hooker Furnishings Corpは1924年創業の家具メーカー兼商社で、木製のケース家具、レザーや布張りのソファ・椅子、照明や雑貨など住宅・ホテル・商業向けのインテリアを設計・輸入・販売し、国内では高級カスタムの張り製品や屋外家具も製造しています。デザインは伝統的から現代的まで幅広く、輸入と自社生産を組み合わせて商品をそろえています。

同社の売上はすべて家具関連で、独立系家具店や百貨店、量販店、大手チェーン、カタログ・EC、インテリアデザイナーなど多様な販売チャネルを通じて得ています。顧客は分散している一方で上位5社で約24%を占め、単一顧客の依存度は相対的に低く(最大でも約7%未満)、国際売上はごくわずかです。

事業は大きく三つの報告セグメントに分かれており、輸入ケース家具と輸入張り製品を中心とするフラッグシップ的なセグメント、低マージンで別の顧客層を相手にするHome Meridian、国内での張り物製造を担うDomestic Upholsteryに加え、契約向けや小規模ブランドを集めた「その他」があります。各セグメントでケース家具、張り製品、照明・アクセサリーなどの製品ラインを組み合わせ、調達は海外輸入と国内生産を使い分けて市場ニーズに応えています。

経営方針

同社は「成長する一方で採算を重視する」方針を掲げ、利益の出ない事業からの撤退と高成長分野への投資を両立させることを目指しています。具体策としては、非採算のACHブランド撤退に伴う在庫処分とSavannah拠点の撤退を進めており、既に2025会計年度に約130万ドルの関連費用を計上し、2026会計年度にはさらに300万〜400万ドルを見込んでいます。一方で2026会計年度に純営業費用で約75万〜100万ドルの予備的削減、そして2027会計年度以降は年額で約400万〜570万ドルの年換算削減を見込んでおり、これらを通じて売上の拡大と収益性改善を両立させることを狙っています。配当については2025会計年度に1株当たり0.92ドル、総額約990万ドルを支払い、前年から3.4%増配しており、取締役会は今後も業績と経済環境を見て配当政策を検討するとしています。

同社は注力投資分野を「デザイン力と製販の柔軟性」に置き、輸入によるケースグッズと自社製造の高付加価値アップホルスタリー(革・布張り)を組み合わせて差別化を図っています。最近はSunset West(国内製造強化、2022年買収)やBOBO(2023年買収)などの買収で国内アップホルスタリー能力を拡充し、デザイン、在庫・配送力、受注対応力を競争優位にしています。一方でコンテナ直送の低マージン面や追加関税の懸念があるため、同社は調達コスト構造を厳しく見直し、サプライチェーン統合やオペレーションの効率化でコスト競争力を高める取り組みを進めています。

新市場開拓と事業再編では、不採算ブランドの整理と既存拠点への統合を通じた事業の再編が中心です。具体的にはSavannah流通センターの撤退を発表しており、今後5年でリース支払いを約1,000万ドル削減、残存リース期間全体では合計約1,450万ドルのコミットメント削減を見込んでいます。国際展開については英国向けの販売イニシアティブなどを注視しているものの、2025会計年度の国際売上は2%未満にとどまっており、まずは国内での市場シェア拡大とホテル・契約市場など付加価値の高い販路拡大を優先しています。加えて、在庫の健全化(過去のACH/PRI在庫評価損の計上など)により将来的な販促負担や値下げリスクの低減も図っています。

同社は技術革新を成長の鍵と位置づけ、基幹業務システムの刷新とサイバー対策に投資を続けています。ERP導入はSunset Westで2022年12月、レガシー事業で2023年9月に稼働させましたが、Home Meridianではコスト削減のため一時中断しており、2025会計年度にはERP関連の実装費として約300万ドルを資本計上しています。ERPは「商品投入の速度向上」「在庫の適正化」「営業・出荷の安定化」を目的としますが、過去の導入で出荷や売上に影響が出た事例もあるため、同社は段階的な展開と内部統制の強化を図る方針です。またサイバーセキュリティ面では外部コンサルとの連携、従業員教育、継続的監視と保険を組み合わせた対策を講じており、同社は情報資産の保護と事業継続性の確保を目指しています。