HELIX ENERGY SOLUTIONS GROUP INCHLX

時価総額
$9.7億
PER
1979年創業の海洋向け特殊エネルギーサービスの有力企業。井戸介入・ロボティクス・廃止措置のサービスを展開。2022年7月に買収。米国メキシコ湾・米東海岸・ブラジル・北海・アジア太平洋・西アフリカで展開。

事業内容

HELIX ENERGY SOLUTIONS GROUP INCは、海上(オフショア)で石油・ガスや再生可能エネルギー向けの専門サービスを提供する国際企業で、特にウェル介入(既存油井の生産維持・改善)、ロボティクス(遠隔操作機器による海底作業)や老朽設備の廃止(デコミッション)に注力しています。これらのサービスによって既存資産の生産を最大化し、寿命を迎えた油田の安全な撤去や再エネ開発の支援を行っています。

同社の主要顧客は大手・中堅の海洋油ガス事業者や再生可能エネルギー事業者で、収益は長期やスポットの船舶契約、プロジェクト型の作業受注、装備の貸出や施設の運営収入などで構成されています。石油・ガスの市場価格や顧客の投資意欲が需要に直結するため、商品価格や政策、地政学的要因の影響を受けやすい収益構造です。

事業は主に四つのセグメントで構成され、ウェル介入では海底井へのアクセスと生産改善や閉鎖作業を行う特殊船と装置を使っています。ロボティクスは遠隔操作車両やトレンチャーで敷設や点検・修理を担い、浅海向け廃止事業では陸棚域のプラットフォーム撤去や井戸閉塞、各種潜水作業を提供しています。生産施設セグメントでは自社の浮体生産設備や緊急対応システム、成熟油田の権益保有などを通じて追加的な収入源を確保しています。

経営方針

同社は既存油田の生産最大化、老朽フィールドの適切な廃止措置(decommissioning)、および洋上再生可能エネルギー分野の支援を成長の柱に据えています。財務面では資本効率を重視しており、2023年2月に取締役会が株式買戻し枠2億ドルを承認したほか、2024年第4四半期には約195万株を平均約10.07ドルで買い戻すなど、フリーキャッシュフローを生み出して株主価値を高めることを目指しています。市場基盤は米国メキシコ湾岸や米東海岸、ブラジル、北海、アジア太平洋、及び西アフリカに広がっており、これら地域での稼働拡大を通じて収益の安定化を図っています。

重点投資分野は井戸介入(Well Intervention)、ロボティクス、浅海での撤去・放棄作業(Shallow Water Abandonment)、および生産施設運用です。具体的にはQ4000/ Q5000/ Q7000などの介入船や、無人遠隔操作機(ROV)やトレンチャー、IROVのボルダーグラブといった機器、さらに介入用リザーやサブシー機器(IRSやSIL、リザーレス放棄モジュール)へ投資しています。同社は船舶と専用機器を組み合わせた「一体提供」によって、単独で機器を貸す業者よりも工程管理や効率面で差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、洋上風力など再生エネルギー関連の海底工事支援や、規制や年数経過に伴う廃止措置需要の取り込みを重点にしています。Helix Allianceの買収によりリフトボート、ダイブ支援船、コイルドチュービング等の浅海向け資産が増強され、これを活用して短期スポットだけでなくタームチャーターや長期プロジェクト受注を狙い、稼働率の向上と収益基盤の強化を目指しています。加えて、主要地域での営業や現地調達を強化してプロジェクト獲得力を高める方針です。

技術革新への取り組みでは、無人・遠隔操作機器や海底掘削・敷設機器の研究開発と運用改善を継続しています。具体的にはROV・トレンチャー・CT(コイルドチュービング)・ポンピング装置や、迅速対応用装備(HFRS)などの稼働性向上と定期更新に投資しており、2024年末の有形固定資産の簿価は約1,438百万ドルと大規模な設備基盤を保有しています。併せて運航安全性・サイバーセキュリティ対策やデジタル化を進め、作業効率と契約遂行能力の差別化を図っている点も特徴です。