Hilton Grand Vacations Inc.HGV

時価総額
$39.2億
PER
タイムシェアの大手。ヒルトンブランドのポイント制クラブ、分譲VOI販売、ファイナンス、リゾート運営を展開。2024年1月のBluegreen買収(約16億ドル)やアポロの大株主化(2024年12月時点で約2,629万株保有)が特徴。米国、欧州、カナダ、カリブ、メキシコ、アジアで展開。

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企業概況
105文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Hilton Grand Vacations Inc. は、リゾートの宿泊枠を分譲するバケーション所有権(VOI)を主に販売し、会員制クラブの運営、リゾート管理、購入者向けの融資まで一貫して展開している企業です。同社はヒルトンブランドとHilton Honorsの提携を基盤に、ブランド力を活かして会員獲得と再販需要の喚起を図っています。

主要な顧客は個人のバケーション購入者や既存の会員で、契約販売収入に加えて会員の年会費、融資の利息収入、リゾート管理手数料やレンタル収入が主な収益源です。同社は自社保有在庫の販売で高い収益を狙う一方、第三者開発物件を代理販売して手数料を得る資本効率の高いモデルも併用しています。

事業は大きく「不動産販売・融資」と「リゾート運営・クラブ管理」の二つのセグメントで展開しています。不動産販売では自社在庫のVOI販売や消費者向けの分割払い融資を行い、運営側では所有者団体(HOA)との管理契約による運営手数料、会員向けのポイント制サービス、空室のレンタルや飲食などの付帯サービスで収益化しています。近年はBluegreenなどの買収や小売・ホテルとのマーケティング提携を通じて会員基盤と販売チャネルを拡大しています。

経営方針

同社は成長を「規模拡大と収益基盤の多様化」で進めています。直近では2024年1月にBluegreenを約16億ドル(総対価約15.6億ドル)で買収し、買収済み事業は2024年末時点で総資産の約26%、売上の約20%を占めるまでに拡大しました。買収によって約20万人のBluegreen会員や約8.7億ドル相当のタイムシェア向けローンなどの資産を取り込み、既存のヒルトン提携製品との相乗効果で契約販売や会員収入を増やすことを目指しています。加えて自己株式買い戻しについては、2023年計画で5億ドル、2024年に追加で5億ドルを承認しており、資本効率の改善と株主還元を図っています。

重点投資分野は販売ネットワークの拡大と資本効率の高い在庫管理です。同社は自社保有在庫の販売で高い利益率を獲得しつつ、初期投資が少ない手数料型や「ジャストインタイム」方式を活用して在庫投資を抑制しており、この資本効率型取引は供給の約28%を占めています。差別化要因としてはヒルトンブランドとHilton Honorsロイヤリティ・プログラムへの継続的な依存を活かし、ブランド力と会員流入を基盤に高品質なツアー流入とクロージング率を追求しています。同時にBass ProやChoiceなど既存のマーケティング提携を活用し、店舗や流通チャネルを通じた見込み顧客獲得を強化しています。

新市場開拓と事業拡大は買収とブランド再編を軸に進められます。Diamond買収については5年計画で大部分の物件をHGVブランドへ順次リブランドする合意があり、年次および累積の客室転換目標を設定しているため、目標達成が遅れた場合はロイヤルティ料の増加やHGV Max商品の提供制限などの契約上のペナルティが想定されます。加えて同社はヒルトンと共同で既存ホテルでのタイムシェア開発やブランド帯域の拡大を模索しており、海外や非従来市場への展開も、買収で得た顧客基盤と提携ネットワークを活用して段階的に進める計画です。

技術革新への取り組みではデジタルマーケティングと顧客管理システムの統合を重視しています。BluegreenやDiamondのマーケティング技術を既存プラットフォームに統合し、ターゲット広告や予約・販売のデジタル化でツアー流入の質を高める施策を実行中です。また、2024年に判明したIT統制上の課題に対してはユーザーアクセス見直し、ソフト更新、管理手続きの強化などを実行し、同年末に是正を完了しており、今後はデータ統合や分析基盤の強化を通じて収益最適化と与信管理の高度化を進めています。