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HESS CORPHES
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事業内容
HESS CORPは原油、天然ガスおよび天然ガス液体(NGL)の探査・開発・生産を主軸とするエネルギー会社です。同社は海洋や陸上の油田で資源を掘り出し、原油やガスを市場へ供給するとともに、資源の処理や輸送に関わる事業も展開しています。
同社の主要な顧客は精製業者、トレーディング会社、国営石油会社や第三者の生産事業者などです。収益は上流(探査・生産)での産出物販売が市場価格に左右される一方で、中流のサービスはパイプラインや処理・貯蔵などの手数料収入が中心で比較的安定しています。
同社の事業は大きく探査・生産(上流)と中流の二つのセグメントに分かれています。上流はガイアナの大規模油田や米国、マレーシアなど地域ごとの開発に注力し、中流ではガスの集約・処理、NGLの分離・貯蔵、原油の集荷と輸出支援、産出水の処理などを長期契約を通じて提供しています。
経営方針
同社は資本効率の高い成長を志向しており、既存資産の開発と資本配分によって株主価値を拡大することを目指しています。2024年の売上高は約129億ドル、同年末時点の割引後の将来正味キャッシュフロー(標準化尺度)は約146億ドルで、そのうちガイアナが約116億ドルを占めるなど、ガイアナ資産が将来キャッシュ創出の中心になっています。配当は2024年に年間1.875ドル/株を実施し、株主還元余力としては取締役会承認の下で最大10億ドルの自社株買い枠を維持しています。さらに、シェブロンとの合併交渉(1株当たりシェブロン株式1.025株を対価とする案)など大型の戦略的取引も進行中で、統合により規模と資本効率の向上を図ることを目指していますが、閉鎖条件や審査手続きに依存する点は投資判断の留意点です。
投資の重点分野はガイアナの油田開発と米国のミッドストリーム事業で、これらを差別化の核としています。2024年末時点での固定資産は約199億ドルに達しており、資本支出の約79億ドル(契約上の約束支出)は今後数年で段階的に実行されます。ミッドストリームではバッケン地域での集荷・処理・輸送・貯蔵といった手数料型ビジネスを持ち、原油ターミナルの引取能力は日量約12万バレルに相当します。関連する商業契約は2024年から2033年の二次期間へ延長され、取引量の最低保証(指名量の80%を基準とする3年ローリング)などにより安定収入を確保する仕組みを持っている点が競合上の強みです。
新市場開拓と事業拡大では、既存の生産圏での探鉱・増産と海外での権益拡大を両輪にしています。2024年に開発費として年間約42.9億ドルを投じるなど積極的な掘削・設備投資を行い、延伸・発見や回収率改善を通じて埋蔵量と生産を増やすことを目指しています。ガイアナのスタブローク・ブロックを核に周辺井や追加開発を進める一方、マレーシアや日タイ共同開発区(JDA)など既存国際資産の効率化も推進しています。ただし、ガイアナに関する優先交渉権(ROFR)などの法的手続きや合併関連訴訟が進行中であり、これらの結果次第で案件の進め方やタイミングが変わるリスクがあります。
技術革新とリスク管理にも注力しており、安全性・稼働率・環境対応を高める技術投資を継続しています。事業運営では井戸管理や設備のプロセス安全基準(障壁と保護の基準)を強化し、緊急対応訓練や外部の油流出対応ネットワークとの連携で実効性を確保しています。環境面ではREDD+炭素クレジット15百万トン分を約2.38億ドルで取得するなど排出削減に向けた投資を行っています。加えて、情報セキュリティ対策はNISTのフレームワークを参考にしたサイバーリスク管理プログラムを導入し、為替・金利ヘッジやフォワード契約(為替約1.89億ドル規模)による財務リスクの管理も実施しています。これらを通じて、同社は生産拡大と安定的なキャッシュ創出を両立させることを目指しています。