HEICO CORPHEI

時価総額
$166.9億
PER
航空・防衛向け部品と電子機器を手掛ける有力企業。代替航空部品の再設計販売、部品修理・オーバーホール、耐放射線電子機器を展開。2023年8月にWencorを19億ドルで買収、2024年はMC2とMarwayを買収。販売は約135カ国、2024会計年度の海外売上比率は37%。

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企業概況
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業績概況
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ライバル企業
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同業種の日本企業
1社)

事業内容

HEICO CORPは航空機向けのアフターマーケット部品と高信頼性電子機器を中核とする企業です。同社は航空エンジンや機体の代替部品を再設計・製造し、部品の流通や修理・オーバーホールといったサービスも手掛けています。

主要顧客は商用・貨物航空会社、機体・エンジンメーカー、整備・オーバーホール業者、軍や政府機関のほか、医療・通信・産業向けのメーカーなど幅広い業種にわたります。同社の収益は部品販売と修理・サービス、そして電子機器の販売が柱で、2024会計年度では約37%を海外売上が占めました。特定の顧客に依存せず、上位5社での売上比率は約19%です。

事業は大きく航空機アフターマーケットを担う部門と電子技術を担う部門の二本柱で構成されています。航空向け部門は代替部品の製造・流通と修理・オーバーホールを中心に、電子部門は高信頼性の無線・マイクロ波機器、電源・組み込みコンピュータ、電気光学機器や試験・放射線関連サービスなどを提供しています。同社は研究開発投資と買収を通じて製品範囲と技術力を拡大し、ニッチ市場での差別化を図っています。

経営方針

同社は売上と利益の両面で積極的に成長を追求しています。成長戦略の中核は有機成長と買収の両輪で、直近ではフライト関連と電子機器関連の二つの事業群で来期(2025会計年度)も売上成長を見込んでいます。実績面では、2024年度の連結純利益は前年から27%増の5億141万ドルと過去最高を記録し、連結売上の約37%は海外(約135カ国への販売)からのものであるため、グローバル展開も重要な柱だと同社は位置づけています。買収資金はリボルビングクレジットや社債で賄うことが多く、これにより利息費用が増加し2024年度の利息費用は1億4,930万ドルに達しましたが、同社はこの資金調達を成長投資の一環として活用しています。

同社は重点投資をアフターマーケット向けの航空部品と高信頼性の電子製品に絞り、価格競争力とサービスで差別化を図っています。具体的には、OEM製品を再設計して低価格で代替部品を提供することで顧客のコスト削減に貢献し、納期や品質、アフターサービスの迅速さで競合に対抗しています。また電子技術部門では耐環境性の高い組込みコンピュータや高周波部品、放射線試験装置などニッチな高付加価値製品に投資しており、ETGの研究開発費は2022年の5,390万ドルから2024年には7,450万ドルへと増加しています。こうした製品ミックスとサービス網を通じて、他社との差別化を強化しています。

新市場開拓と事業拡大は買収を通じても積極的に進められています。代表例として2023年に実施したWencor買収は現金19億ドル+1,137,628株の対価でアフターマーケット製品・修理サービスを大幅に拡充し、2024年もMid Continent ControlsやMarway、Capewellなど複数の買収やハネウェルとの製品ライセンス取得(ELTや機体表示装置など)を行って事業領域を広げています。同社は買収後の統合に注力するとともに、将来の買収機会にも備える方針で、株主還元と自己資本のバランスを見ながら追加投資を行う姿勢です(自己株買いプログラムでは約4,886,353株の残枠がある点も留意点です)。

技術革新への取り組みは同社戦略の重要な要素です。製品の再設計や新製品開発に多額を投じるほか、既存メーカーからのライセンス取得で技術・製造能力を短期間で取り込む施策をとっています。例えばハネウェルからのELTやコックピット表示装置のライセンス取得は、製品ライン拡張と修理供給力の強化につながっています。加えて、航空規制対応や品質管理の徹底、情報システムとサイバーセキュリティ対策の強化にも言及しており、これらを通じて製品信頼性と顧客満足度を高めることを同社は目指しています。