HEALTHCARE SERVICES GROUP INCHCSG

時価総額
$13.9億
PER
医療施設向けハウスキーピング・ダイエタリー管理サービスの米国最大手。ハウスキーピング、ランドリー、栄養管理を展開。2024年に医療IT企業へ280万ドルで25%出資、2024年6月に発行可能株式数を2億株へ改定。2024年12月時点で約2,600施設へ米国内展開。

事業内容

HEALTHCARE SERVICES GROUP INCは、米国内の医療施設向けに清掃、洗濯・リネン管理、施設サポートと食事管理といった運営・管理サービスを提供しています。同社は各施設に常駐する現場マネージャーを配置し、スタッフの採用・教育、スケジュール管理、調達、顧客対応や品質管理などの現場運営を担っています。

主要な顧客は介護施設や長期療養施設、リハビリセンター、病院など幅広い医療機関で、2024年時点で約2,600施設にサービスを展開しています。収益は顧客との契約に基づくサービス料が中心で、清掃・洗濯・リネン管理と食事管理の二つの事業が売上の大半を占め、2024年は前者が約44.6%、後者が約55.4%を占めました。

同社は事業を清掃・洗濯・リネン管理(Housekeeping)と食事管理(Dietary)の二つのセグメントで運営しており、前者は居室や共用部の清掃、消毒、寝具や制服の洗濯・処理を、後者は食材調達・調理、栄養士によるメニュー作成や臨床コンサルティングを担当しています。いずれのサービスも既存の施設従業員を引き継いで教育・監督する現場マネージャーを中心に、地区マネジャーや役員層が支援してコストと品質の管理を行っています。

経営方針

同社は安定的な成長と施設レベルでの収益性向上を両立することを目指しています。2024年はハウスキーピング事業が約2,200施設から765.4百万ドル(売上比率44.6%)、ダイエタリー事業が約1,600施設から950.3百万ドル(同55.4%)を計上し、合計で約2,600施設にサービスを提供しています。成長の中心は新規施設の獲得と既存顧客への追加サービスの提供で、既存契約での年度ごとの料金調整やコストの一部転嫁を通じて、施設ごとの望ましい利益率を確保することを狙っています。また自己株式買付けや株式報酬制度の運用により資本効率と経営インセンティブの強化も図っており、取締役会は最大750万株の再取得を承認し、2024年には約40万株(約500万ドル)を買い入れています。

重点投資分野は現場運営力と購買力の強化による差別化です。同社は現地の施設管理者を核とする四層の運営体制(副社長→ディレクター→ディストリクトマネジャー→施設マネジャー)を維持し、現場での品質管理とコスト管理を徹底しています。食材や消耗品は主要仕入先を通して大量購買することで原価抑制を図り、ダイタリー分野ではSysco経由で50%超の調達を行うなどスケールメリットを活かしています。人材定着と業績連動のために株式インセンティブも重視しており、改訂済みのインセンティブプラン下で合計670万株を留保、うち240万株が将来付与可能になっています(2024年末時点)。

新市場開拓と事業拡大では、長期・回復期ケア市場の高齢化による需要拡大を背景に、地域的な深耕と営業活動の強化を進めています。営業は施設への直接提案や紹介、業界展示会・協会イベントを通じて関係者にアプローチし、初期評価後に運営提案と見積りを提示する標準的な商談プロセスを採っています。加えて、フルサービス契約に加えて管理のみの契約や臨床コンサルティングの提供など、契約形態の柔軟化で顧客ニーズに応えることで、既存顧客からの売上拡大を狙っています。資本面では株式発行枠の増加(発行可能株式数を1億株から2億株へ改定)や資本還元策を通じて将来のM&Aや投資に備えています。

技術革新への取り組みとして、同社は現場の効率化とデータ活用を優先投資領域に据えています。2024年には長期・急性期ケア向けのヘルステック企業へ2.8百万ドルで25%出資し、その関連で従業員向けアプリ開発に約0.6百万ドルの費用を計上するなど、業務支援ツールの導入を進めています。また、自己保険や保険準備金の算定には外部のアクチュアリー(保険数理専門家)による評価を取り入れ、損失見積りの精度向上と損害抑制策により2024年は約1,160万ドルの保険引当調整があったことを踏まえ、リスク管理と運営の効率化を両立させる技術投資を継続しています。