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- HA Sustainable Infrastructure Capital, Inc.
HA Sustainable Infrastructure Capital, Inc.HASI
事業内容
HA Sustainable Infrastructure Capital, Inc.は、気候変動対策に資するインフラ資産への投資とその管理を主な事業としています。同社は再生可能エネルギーや省エネ設備に資本を供給し、プロジェクトの組成・ファイナンス・運用・サービス提供を一体的に行っています。
主要な顧客は建物所有者や企業、大学などの電力オフテイカー、電力会社や公共機関などで、これらとの長期契約や設備貸付が収益源になっています。同社の収益は投資からの利回りに加え、貸付利息や資産管理手数料、取引組成時の一時金や継続的なサービス料といった複数の柱で構成されています。
事業は主に三つの分野に分かれています。建物内や事業所向けの分散型設備(太陽光、蓄電、省エネ改修)、送配電網に接続する大規模な発電・蓄電プロジェクト、そして投資ファイナンスや資産の証券化、共同投資・アセットマネジメントです。同社は投資評価やインパクト指標(CarbonCount®)の活用、共同投資スキーム(例:CCH1)による資金調達と運用も手がけ、資金調達手段として社債やグリーンボンド、融資枠や商業手形などを活用しています。
経営方針
同社は持続可能なインフラ資産への投資規模を拡大することで成長を目指しています。具体的には、2024年末時点でパイプラインは55億ドル超にのぼり、そのうち約48%が建物直結型(商業・住宅の太陽光や蓄電など)、25%が送配電に接続する大規模発電案件で構成されています。市場価値は2024年6月時点で約34億ドル、2025年2月時点の発行済株式数は約1億1,927万株で、従業員は2024年末で158名。これらの基盤を元に、オンバランス投資と資産の証券化を組み合わせて資本効率を高め、投資回転を速めることを同社は目指しています。
同社は投資の重点分野として、建物直結型(エネルギー節約・自家消費を重視する設備投資)と系統接続型(太陽光、ソーラー+蓄電、風力など)の二本柱を掲げ、残りを送配電・関連サービス分野に配分しています。差別化の核は、投資の環境効果を定量化する独自指標「CarbonCount(カーボンカウント)」を用いる点にあり、これにより案件ごとの回避排出量を示して資金調達や借入条件の改善につなげています。また、投資先の運用・管理を受託して手数料を得る構造や、環境適格と認められる債券基準(グリーンボンド基準)に適合させるなど、資金調達面と運用面の両方で他社と違う位置づけを築いています。
新市場開拓や事業拡大の具体策として、同社は外部パートナーとの共同投資や専用ファンドを活用しています。代表例がKKRと共同で立ち上げたCarbonCount Holdings 1(CCH1)で、同社側とKKR側がそれぞれ10億ドルのコミットメントを行い、18カ月間でクリーンエネルギー案件への投資を進める計画です。加えて、社債、転換社債、銀行借入、商業手形、回転型与信、オフバランスの証券化など多様な資金調達手段を組み合わせることで、自己資本に頼り過ぎないスケール拡大を同社は目指しています。ジョイントベンチャーや優先出資といったスキームを通じて大規模案件(例:Lighthouse 2には約4.2億ドルの優先出資実績)にも参画しています。
技術革新への取り組みでは、同社は投資評価・管理と情報セキュリティの両面で技術導入を進めています。CarbonCountは2013年から用いている定量ツールで、投資ごとの排出回避を数値化して投資判断や債務条件に反映させる取り組みです。また、最高技術責任者(CTO)が主導してNISTの枠組みに準拠したサイバーセキュリティ対策や外部の監視サービス導入を行い、社内データと顧客情報の保護を徹底しています。これらにより、同社は投資の環境効果を可視化すると同時に、デジタル化された運用基盤で事業拡大を支えることを目指しています。