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Guidewire Software, Inc.GWRE
事業内容
Guidewire Software, Inc.は、損害保険会社向けに基幹業務とデジタル、分析機能を組み合わせたソフトウェアプラットフォームを提供しています。主力製品はInsuranceSuiteとInsuranceNowで、主にGuidewire Cloud Platformを通じたクラウドのサブスクリプション方式で保険の契約管理、保険金処理、請求などの業務を支えています。
同社は世界の大手から地域系まで約500の顧客(約570の保険ブランド、43か国、2025年7月31日時点)を抱え、売上はクラウドサブスクリプションやソフトウェアライセンスに加え、導入支援や保守などの専門サービスで構成しています。直販の営業チームが主要な販売・アカウント管理を担い、システムインテグレーターやコンサルティングパートナーと連携して導入効率を高めています。
同社の製品ラインは、基幹となる業務システムに加え、顧客接点を改善するデジタル機能やデータ分析・AIを活かすツール、外部アプリを集めたGuidewire Marketplaceで成り立っています。InsuranceSuiteは大規模保険会社向けの包括的ソリューション、InsuranceNowは中小規模向けの製品として位置づけられ、各国の規制や通貨に合わせたローカライズやクラウド運用の安全性・効率化にも力を入れています。
経営方針
Guidewireは近年、従来のパッケージ販売からクラウド型のサブスクリプションへ収益構造を移行することで、安定した成長と収益性の改善を目指しています。同社はFY2025において売上高約12.0億ドル(FY2024は約9.8億ドル)を計上し、売上総利益率は63%に回復、営業利益も4106万ドル(営業利益率約3%)と黒字化しています。こうした実績を背景に、同社はサブスクリプション比率をさらに高めてARR(年間経常収益)の安定的な拡大を図ることを目指しています。
同社は製品差別化のために、業界特化の機能、地域ごとのローカライズ、エコシステムの拡充に重点投資しています。具体的には、自動車や住宅など損害保険(P&C)向けの中核製品に加え、デジタル顧客接点やデータ分析、セキュリティ強化に投資しており、約500社・570ブランド(43か国)という顧客基盤を武器に差別化を狙っています。また、導入支援力を高めるためにシステムインテグレータ(SI)パートナー網やGuidewire Marketplaceの拡大を進め、これにより導入コスト低減と実稼働までの短縮を実現しようとしています。
新規市場開拓と事業拡大では、国際展開を加速させており、FY2025の海外売上は約4.316億ドル(FY2024は約3.479億ドル)に達しています。同社は今後もM&Aや戦略投資を成長手段として活用する方針で、直近ではポーランドの動的価格設定ソフトを手がけるQuanteeを約2,790万ドルで買収しました。加えて資本配分面では2022年承認の自社株買い枠4億ドルのうち約1億3,820万ドルが残っており、成長投資と株主還元のバランスを取りながら市場拡大を目指しています。
技術革新への取り組みとして、同社はGuidewire Cloud Platformを中心にクラウド運用と製品開発に継続投資し、人工知能(AI)やデータ分析機能の強化を図っています。研究開発とクラウド運用への投資は資本化したソフトウェア開発費にも反映されており、例えば有形資産の内訳で資本化ソフトウェア開発費は約8300万ドルと規模が大きくなっています。また、安全性・プライバシー対応や各国の規制対応(言語・通貨・ローカル用語の対応)を重視し、製品とエコシステム両面で顧客の基幹業務に組み込まれるプラットフォームを提供することを目指しています。