Greenland Technologies Holding Corp.GTEC

時価総額
$1826.4万
PER
電動工業用重機とトランスミッションの有力企業。H55L・H65Lなど電動車両と研究開発拠点を展開。2022年8月に米国ボルチモアで組立拠点開設、2024年7月にLonkingと提携。中国・北米で展開。

事業内容

Greenland Technologies Holding Corp.は、主に産業用の駆動系部品と電動の工業用車両の設計・製造・販売を行う企業です。同社は中国国内でトランスミッションなどの伝動製品を販売するとともに、北米向けに電動荷役機器や建設向けの電動重機を展開し、組み立てやアフターサービス拠点も整備しています。

同社の主要顧客は、物流や倉庫向けの荷役機器メーカーやフォークリフト事業者で、収益は伝動製品の国内販売と米国向け電動車両の販売・組立から成り立っています。販売先は一部の大手メーカーに偏るため、特定顧客への依存や回収条件が利益に与える影響に注意が必要です。

事業は大きく伝動システム事業と電動工業車両事業に分かれ、伝動部品は既存の製造ラインで量産し、電動重機は北米向けにHEVIブランドなどで投入しています。研究開発部門や技術センターを持ち、生産効率や製品開発を強化することで市場の電動化需要に対応しようとしています。

経営方針

同社は成長戦略の中核に電動化された産業用重機と従来のトランスミッション事業の両輪を据えており、明確な売上数値目標は開示していないものの、成長市場へのシェア獲得を目指しています。市場データによればグローバルな建設機械市場は2024〜2030年で年平均3.9%の成長が見込まれており(最終規模推計で約1,870億米ドル)、同社はこの追い風を受けて電動重機と部品供給で「意味のある役割」を確立することを目標としています。資金面では短期投資残高が約1,853万ドル(2024年末)と流動性の裏付けがあり、配当は将来も見込まず利益は事業投資に留保する方針です。

同社は重点的に研究開発と生産能力、アフターサービスに投資し、これが差別化戦略の柱になっています。研究開発チームは17名超で従業員の約5%を占め、浙江省認定のトランスミッション技術センターやポスドク研究拠点を保有しており、量産までのリードタイム短縮と品質安定化を図っています。さらに東部地域を中心に自社サービスセンターや提携サービス業者を配置し、顧客が電話一本で迅速な現場対応を受けられる体制を整備している点も差別化要因です。一方で内部統制に関する課題を認識しており、2025年度中に会計・開示人員の採用や米国会計士による研修、業務プロセスの整備など具体的な是正策を実行する計画を示しています。

同社は新市場開拓として北米での事業拡大を積極展開しています。2022年8月にメリーランド州ボルチモアに54,000平方フィートの組立拠点を立ち上げ、2024年7月には龍工(Lonking)との米国向け共同開発・販売に関する提携を発表、同年8月には最大級の大型リチウムバッテリー式ホイールローダー(H55L、H65L)を市場投入しました。ディーラーモデルが整備整備された既存業界ではメンテナンス収益の構造的な壁があるため、同社は直販・現地組立・サービス拠点という組み合わせで早期に実需を取り込む戦略を採っています。なお、2024年6月にはドライブトレイン事業のスピンオフ計画を中止する判断をしており、市場環境に応じた事業ポートフォリオの見直しを行う柔軟性も示しています。

同社は技術革新を経営の重要課題と捉え、低公害・低騒音・保守費低減といった電動化の利点を製品で示すことで競争優位を構築しようとしています。電動機は従来機比で整備負担を約40%低減すると想定されることや、国や自治体の脱炭素施策に伴う補助制度の追い風を取り込むことを狙いとしています。知的財産(特許・商標)を保有する一方で権利保護のリスクも認めており、製品開発と並行して特許出願や模倣対策、サプライチェーン強化といった実務的な対策を進める方針です。