Ferroglobe PLCGSM

時価総額
PER
シリコン金属・マンガン系フェロアロイ製造の最大手。高純度シリコンやEV電池向けアノード材など高付加価値製品を、2024年時点で生産能力約33万トンを背景に展開。主要株主が2024年末時点で36.2%出資。北米・欧州中心に5大陸・40カ国超で展開。

事業内容

Ferroglobe PLCは、シリコン金属やシリコン系・マンガン系のフェロアロイなど、産業向けの特殊金属を製造するグローバルメーカーです。同社は世界各地に生産拠点を持ち、原料の採掘から精錬、生成副産物の回収・再利用までを一貫して行い、安定的かつ競争力のあるコストで製品を供給しています。

主要な顧客はシリコーンやアルミニウム、鉄鋼メーカーに加え、太陽光発電、半導体、電気自動車の電池、 自動車部品や建設分野など幅広い業界にわたります。同社は年次・四半期契約とスポット販売を組み合わせて収益を確保し、上位顧客に売上が集中する一方で多様な用途先への販売により収益の安定化を図っています。

事業は大きくシリコン金属・シリコン系合金、マンガン系合金、そして高付加価値の特殊金属・粉末製品のセグメントに分かれています。同社は鋳造向けの付加価値製品や電池向けの高純度シリコン粉末などの開発に注力し、複数拠点の生産を柔軟に切り替えることでコスト最適化と納期安定を実現しています。

経営方針

Ferroglobeは成長戦略として、従来のシリコン金属とフェロアロイの主力ポートフォリオを軸に、長期的な収益化を図ることを目指しています。同社は世界で約33万トンのシリコン金属生産能力(持分ベース)を有し、北米で約66%、中国を除く世界市場で約25%のシェアを持つ規模を活かして市場地位を維持・拡大しようとしています。2022〜2024年は連続してプラスの調整後営業利益(EBITDA)を計上しており、同社は財務の健全性を保ちつつ低レバレッジと十分な流動性を確保し、安定したキャッシュ創出を目指しています。

重点投資は主にコスト競争力の強化と原料の確保に向けられています。同社は設備の「フットプリント最適化」で生産をより柔軟かつモジュール化し、最も競争力の高い工場へ稼働をシフトすることを目指しています。購買は中央集約化して「買い方」と「使い方」を見直すことで原材料費を抑え、固定費削減や販管費の恒久的削減で単位当たりコストを低減する計画です。さらに、同社はスペインや南アフリカ、カナダ、米国の石英鉱山や南アの木炭生産など自社で原料源を持つことで調達リスクを下げることを重視しています。

新市場開拓では、従来のアルミや鉄鋼向けだけでなく、太陽光、半導体、電気自動車(EV)向けバッテリーといった成長分野に注力しています。同社は高付加価値製品の開発で顧客基盤を広げる方針で、具体的にはリチウムイオン電池の負極材向けシリコン系粉末や、鋳造向けの添加剤(イノキュラントやノデュラライザー)などを事業化する計画です。顧客ポートフォリオの多様化と契約比率の管理(歴史的にシリコン等の生産の約70%を翌年分として四半期末に契約する慣行)を通じて収益の安定化を図ると同時に、補完的な買収で原料や生産能力を拡充することも検討しています。

技術革新への取り組みでは、工程効率向上と製品開発の両面に投資しています。同社は「主要技術指標(KTM)プログラム」による炉レベルの性能追跡や廃棄物低減によるコスト削減を推進し、研究開発投資と的確な設備投資で高純度製品や次世代素材を生み出すことを目指しています。また、ESG戦略(2022–2026)に基づき2020年比で2030年までにScope1・Scope2排出量を少なくとも26%削減する目標を掲げ、年次のグローバルESG報告で進捗を開示する方針です。これらの技術・環境施策により、同社は低コストで持続可能な製造基盤を実現し、差別化を図ろうとしています。