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Genie Energy Ltd.GNE
事業内容
Genie Energy Ltd.は電力や天然ガスの小売供給、太陽光発電の開発・建設・運営、そして企業や自治体向けのエネルギー調達支援まで、エネルギーに関する一連のサービスを手掛ける企業です。同社は発電資産の保有と運用から小売販売、調達アドバイザリーまでを結び付けた事業モデルを展開しています。
同社の主要な顧客は家庭や小規模事業者を中心とする小売顧客、コミュニティソーラーの参加者、そして工場やオフィス、自治体などの法人顧客です。収益は電力・ガスの販売マージン、保有する太陽光発電からの電力販売やプロジェクトの売却、そしてエネルギー調達やアドバイザリーに対する手数料が主軸になります。
事業は大きく小売部門と再生可能エネルギー部門の二本立てで構成しています。再生可能エネルギー部門ではユーティリティ規模の太陽光発電の開発・建設・運営、地域共同型の太陽光サービス向けの顧客獲得・販売支援、さらに法人向けのエネルギー調達・助言サービスを提供しており、運転中や開発段階のプロジェクトを組み合わせてポートフォリオを拡大する戦略を取っています。
経営方針
同社は持続的な成長と再生可能エネルギーにおけるポートフォリオ拡大を目指しています。具体的には、現状で稼働中の太陽光発電容量は合計9.4MW、建設段階にあるコミュニティソーラー約10MW、許認可段階で6MW、開発中でさらに約72MWを保有しており、まずはこれらの案件を実稼働へと導くことで売上と発電容量を拡大する計画です。成長は有望案件の自社開発(用地取得から建設まで)と、競争力のある買収を組み合わせて推進しており、過去にはオハイオ・ミシガンの施設取得に総額約775万ドル、インディアナの施設を約130万ドルで取得するなど、資産買収にも積極的です。
同社は投資の重点を太陽光発電、コミュニティソーラーの顧客獲得サービス、企業向けのエネルギー調達に置き、これらを組み合わせた差別化を図っています。具体的には、太陽光事業で発電所の開発・建設・運営を一貫して行う「Genie Solar」、地域顧客獲得を担う「CityCom Solar」、大口顧客向け調達サービスを提供する「Diversegy」という三つの事業を連携させることで、需給の安定化や販売チャネルの多様化を図っています。さらに、パネル製造・設計を担うPrismに60%出資するなど上流工程への関与を深め、他社よりも供給の安定性やコスト面での優位を確保しようとしています。
新市場開拓や事業拡大については、既存の開発パイプラインを基礎に米国内のデレギュレーション(小売競争)地域やコミュニティソーラー需要の高い地域へ展開を進める計画です。加えて、2022年以降のM&Aでリサイクル事業のRodedへの投資(当初45%を取得し、その後2024年4月に51.2%へ拡大、取得時の対価はNIS500万=約150万ドル)など非電力分野への選択的投資も行っており、事業リスクの分散と新たな収益源確保を図っています。小売部門では価格変動リスクを抑えるために適度なヘッジ(プット・コールやスワップ)を活用しつつ、CityComやDiversegyによる顧客基盤の拡大で需要側の収益性改善を目指しています。
技術革新の取り組みでは、発電効率や製造面での優位確保を重視しており、Prismを通じた特殊パネルの設計・製造や、資産運用に係る遠隔監視・保守プロセスの標準化に投資しています。加えて、顧客獲得や電力調達のためのプラットフォーム整備により営業効率を高め、建設後の資産耐用年数(資料上は14〜30年と見積り)を踏まえた長期収益性を確保することを重視しています。これらの取り組みにより、同社は発電容量の拡大と事業運営の効率化を両立させることを目指しています。