Global Medical REIT Inc.GMRE

時価総額
$23.7億
PER
医療施設の取得・賃貸を行うREITの有力企業。中長期トリプルネットリースと物件運営を展開。2024年に15物件取得、2024年1月に3億ドルATM導入、同年12月にHeitmanと87.5%/12.5%でJV形成。米国中心展開。

事業内容

Global Medical REIT Inc.は、不動産投資信託(REIT)として主に医療関連の不動産を取得して保有し、医療機関に賃貸する事業を行っています。医療用オフィスビルや入院リハビリ施設、外来診療施設などを中心に、長期的な賃貸による安定収益を目指しています。

同社の主要な顧客は医師グループや地域・全国規模の医療システムで、多くの賃貸契約はトリプルネット型の中長期リースです。収益は賃料と運営費の払い戻しが主で、主な費用は減価償却、利息、一般管理費などになります。

同社は事業を単一の報告セグメントで運営し、物件の取得・保有・売却に加えてポートフォリオ管理やジョイントベンチャーの組成・運営で価値を高めています。資金調達面ではクレジットファシリティやATM型の株式発行、外部パートナーとの共同投資を活用し、賃貸収入に加えて運用手数料や売却益も事業の一部としています。

経営方針

同社は、医療施設への賃貸収入を安定したキャッシュフロー源とし、投資家に対して魅力的な配当と株価の成長を提供することを成長の柱に据えています。具体的には、契約上の賃料増額条項を含む中長期のトリプルネット型賃貸契約を中心にポートフォリオを構築し、2023年・2024年ともに四半期ごとに1株当たり0.21ドルの配当を実施しました。資本調達面では最大3億ドル規模の「随時売出し(ATM)プログラム」を設定しており、2024年は約120万株を発行して約1200万ドルを調達したほか、2024年末時点での借入残高は約6.317億ドル、2025年2月26日時点での未使用融資枠は約2.194億ドルといった余力を持って事業拡大を狙っています。

同社は、医師グループや地域・全国規模の医療機関に賃貸する医療モールや分散型医療施設に重点投資を行っており、とくに郊外や二次市場にある小〜中規模施設、心臓治療やリハビリ、眼科、消化器科、がん治療、整形外科といった高齢化に伴う需要が見込まれる診療分野を狙っています。差別化策としては、内部運用型のREITとしてオペレーティングパートナーを通じた一体的な管理(同社が事業持分の92.6%を保有)と、テナントの事業基盤や賃貸条件に基づくリスク管理により、利回りが資本コストを上回る案件を選別する点を掲げています。

新規市場開拓と事業拡大では、2024年12月に大手不動産運用会社との合弁を立ち上げたのが目立つ動きです。同社はHeitmanとの合弁で12.5%の持分を保有しマネージングメンバーを務め、合弁にシード資産を売却して約3520万ドルの売却収入を得たうえで自ら案件をソーシングして運営手数料を得る構造を確立しました。こうした資金循環は、同年に実行した15物件の取得や7件・総額約6070万ドルの売却(資産の組替え)と併せて、資本効率を高めつつ成長機会を拡大する具体的な施策です。

同社は技術革新についても段階的に取り組んでおり、とくに情報セキュリティと持続可能性の分野を重視しています。セキュリティ面では、事前防止と事後対応を定めたポリシーやインシデント対応チームを整備し、復旧や継続性を見据えた運用を行っています。一方で、人工知能(AI)を含む新技術については、データ品質や第三者利用のリスクを認識した上で採用を慎重に進め、物件の気候リスク評価やエネルギー監査を取得時のデューデリジェンスに組み込むなど、脱炭素や省エネの検討を通じて資産価値の維持・向上にも結び付けようとしています。