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- Gaming & Leisure Properties, Inc.
Gaming & Leisure Properties, Inc.GLPI
事業内容
Gaming & Leisure Properties, Inc.は主にカジノや娯楽施設の不動産を取得・保有する米国中心の不動産投資信託(REIT)です。同社は土地や建物を取得してカジノ運営会社に長期で賃貸し、安定した家賃収入を得ています。必要に応じて用地の開発資金や建設支援を行うこともあります。
同社の主要な顧客はカジノを運営する企業で、収益は賃貸契約に基づく家賃が中心です。家賃は固定部分に加え、施設売上に連動する変動部分(パーセンテージレント)や、リースを通じた金融的な収益が組み合わさって構成されています。長期のマスターリースや契約条項により収入の予測可能性を高めています。
事業は大きく、不動産の取得・保有、テナントへの長期賃貸、そして開発支援や不動産に関連するファイナンスといった分野に分かれます。多くの賃貸は税金・保険・維持管理費をテナントが負担する長期契約となっており、これが同社の収益安定性に寄与しています。同社はテナントとの協働でエネルギーや環境データの共有を促進し、サステナビリティ条項を導入するなど資産価値の維持・向上にも取り組んでいます。
経営方針
同社は中長期的なポートフォリオ拡大を成長の中心に据えており、その多くをゲーム施設や関連不動産の買収で実現することを目指しています。収益面では2024年の純利益が約7.85億ドル、希薄化後一株当たり利益が2.87ドルだったことから収益基盤は安定しており、資金調達面では営業キャッシュと手元資金に加え、改定された与信枠として約21.9億ドル(Second Amended Credit Agreementでの利用可能額)を確保しています。さらに、同社は2022年に設定した最大10億ドルのATM(随時売出)プログラムを資本調達の手段として用いており、2024年末時点で約3420万ドル分が未使途で残っています。こうした資金源を組み合わせて配当要件を満たしつつ、外部からの取得により規模を拡大する方針です。
同社は投資先の選定において、長期のトリプルネット型賃貸(テナントが運営・維持コストを負担する契約)やマスタリース契約を重視し、大手オペレーターとの関係性を差別化要因としています。具体的な取組みとして、2024年にバリーズ関連資産やTioga Downsなど複数の資産を取得(例:バリーズ・カンザスシティとシュリーブポートの不動産取得で約3.95億ドル、Tioga Downsで1.75億ドル)し、シカゴの恒久的カジノ用地は2.50億ドルで取得、さらに最大9.40億ドルまでの建設資金提供をコミットするなど、土地取得から開発資金の供給まで一貫して行える体制を持っています。財務面では総資産に対する負債比率の上限(通常60%、条件付きで65%まで)や固定費カバレッジ比率の維持(最低1.5倍)といった借入契約の制約を踏まえつつ、安定した賃料収入の確保でリスクを管理しています。
同社は新市場や事業拡大においても選択と集中の姿勢を取っており、今後の成長の大部分を米国内での取得・開発案件から見込んでいます。近年の取引実例としては、バリーズやCaesars、Pennなど複数のオペレーターとのマスタリースの拡張や、PlainridgeやBiloxi等の大型取得があり、今後も類似のポートフォリオ拡張を想定しています。資金調達手段は営業キャッシュ、与信枠、ATMプログラム、優先的にはOPユニットや社債発行などの組合せを想定しており、必要に応じて既存の社債の償還・再編(例:2025年6月償還予定の5.25%ノートの償還)も行う方針です。
同社は技術とサステナビリティを成長戦略に組み込むことを目指しており、テナント向けに無償で提供する第三者プラットフォームを通じてユーティリティデータの集約・報告を促進するなど、運用データの可視化に注力しています。2024年末時点でテナントからのデータ提供合意は100%に達しており、多くの賃貸契約にデータ収集義務を盛り込む「グリーンリース」条項を実装しています。加えて、取得プロセスでは環境技術者によるフェーズI評価を恒常的に実施し、2023年には保有資産全体の点検と気候リスク評価を行うなど、環境・技術面の統合的な管理を進めています。金融リスク管理の観点では、金利変動に対するヘッジ手段(スワップ等)や固定・変動金利の組合せ運用を行う一方、REITに係る規制上の制約も踏まえた運営を行っています。