GILAT SATELLITE NETWORKS LTDGILT

時価総額
PER
衛星通信機器とネットワークサービスの最大手。低プロファイルのオンザムーブアンテナ、高出力SSPA、ESA端末を展開、2024年は機器63%・サービス37%構成。2025年1月にSBSを買収。100カ国以上、6大陸で展開。

事業内容

GILAT SATELLITE NETWORKS LTDは衛星通信の地上機器やネットワークの設計・構築・運用を手がける企業です。同社は移動体向けの端末(アンテナや送信機器、モデムを含む)、高出力アンプ、クラウドベースのネットワークアーキテクチャや次世代の電子走査アンテナ(ESA)などを主力製品として提供しており、民間・防衛・航空・海事分野でのブロードバンド接続を支えています。

同社は衛星運用事業者、大手通信事業者、政府・防衛機関、大企業や地方の通信プロジェクトを主要顧客としています。収益構造は機器販売が約63%、サービスが約37%(2024年)で、機器販売が導入時の収入を生み、サービス契約が継続的なリカーリング収入の基盤になっています。

事業は主に「Satellite Networks」「Integrated Solutions」「Network Infrastructure and Services」の三つのセグメントから成り、2024年の売上比率はそれぞれ約65%、18%、17%です。製品ラインには地上ネットワークプラットフォーム(SkyEdge IVなど)、移動体向けの低プロファイルアンテナやESA端末(Sidewinderなど)、高性能アンプやBUC、さらに設置・運用・保守を含むターンキーのシステムインテグレーションサービスがあり、同社はグローバルに販売と現地サポートを行っています。

経営方針

同社は財務面での成長と収益性の改善を明確な数値レンジで目指しています。その計画モデルでは、今後の売上成長率を年率で13.0%〜15.8%、調整後EBITDAマージンを13.7%〜16.2%と想定しており、これらを基に事業投資や買収の意思決定を行っています。事業構成を見ると2024年は機器売上が約63%、サービスが約37%を占め、事業セグメント別ではSatellite Networksが約65%、Integrated Solutionsが約18%、Network Infrastructure & Servicesが約17%であるため、同社はサービス比率の拡大と長期契約の積み上げで収益の安定化とマージン向上を図ることを目指しています。

同社は研究開発と製品差別化に重点投資を行っています。耐久性の高い高出力増幅器や低プロファイルの「オン・ザ・ムーブ」アンテナ、SkyEdge IVに代表される新世代のアーキテクチャ、X‑Architectureや電子走査アレイ(ESA)などを中核製品としており、これらで防衛用途や航空、海上、モバイルブロードバンドなど競争の激しい分野で差別化を図っています。加えて、顧客に対してネットワーク設計から導入、運用・保守までを一括提供するターンキー型の体制や、世界16拠点の販売・サービス網、SatCare/SkyCareによる24/7サポートを通じて、単なる製品供給にとどまらない付加価値で顧客ロイヤルティを高めることを目指しています。

同社はM&Aと新技術への出資で事業領域を拡大しています。例として、2023年11月に買収したDPIの買収総額は約1,923万ドル(注:報告は千ドル単位)で、現金・株式・業績連動のアーンアウトなどを組み合わせた構成でした。さらにSBSの取得を2025年1月6日に完了しており、初回現金支払額は$98,000(注:千ドル単位の表示のため実額は約9,800万ドル)で、約$60,000(約6,000万ドル)の3年ローンを含む資金調達で賄いました。SBS取得に関しては追加で最大$147,000の業績連動支払の可能性があり、同社はこれらの買収を通じて米国防衛市場や航空業界、LEO/マルチオービット向け端末市場への拡大を目指しています。加えて2025年2月にはドローン検知技術のスタートアップに最大$3,500(約350万ドル)を出資するコミットメントを行っており、戦略的投資で新規商機の取り込みを図っています。ただし取得関連の初期会計処理や割当は完了しておらず、将来の価格配分の確定により計上額が変わる可能性があります。

同社は技術革新を継続的な競争優位の源泉と位置づけ、世界各地の開発拠点で迅速な製品開発とフィールド検証を進めています。具体的にはSkyEdge IVによるスケーラビリティ向上、Sidewinder(SBSからの技術)やESR2030などの電子走査アンテナでLEO/NGSO対応を推進し、オープンアーキテクチャでの他社連携や衛星事業者との協業を強めています。さらに重要顧客の国防分野に対応するため、サイバーセキュリティや内部統制の強化、DFARS等の規制適合にも投資しており、同社は技術と運用両面で「高信頼・高付加価値」の提供を目指しています。